クリニック開業の準備ガイド｜成功するための7つのステップ

クリニック開業は、医師にとって大きな夢であり同時に大きな挑戦ですが、準備が欠かせません。

しかし、近年では新規開業した医療機関の多くが、厳しい経営状況に直面しています。まるで航海の途中で嵐に遭遇し、航路を見失ってしまうようなものです。成功するためには、綿密な準備と戦略が必要です。

この記事では、クリニック開業に必要な7つの準備項目から、開業場所の選定、設計・内装、医療機器・備品の選定、スタッフの採用、広報活動、開業後の経営戦略まで、具体的な事例を交えながら解説します。

さらに、クリニック開業時に揃えたい備品を10のカテゴリーに分けて詳しく解説し、電子カルテシステムやセキュリティ対策についても詳しく解説します。この記事を読めば、クリニック開業に向けて、成功への羅針盤を手に入れられるはずです。

クリニック開業に必要な準備7選

クリニックを開業したい！そう思った時、一体何から始めたら良いのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。しっかりと計画を立て、必要な準備をしておくことが、成功へと導く羅針盤となります。

しかし、医療機関の事業継続は容易ではありません。新規開業した医療機関のうち、1年以内に約1割、5年以内には約3割が廃止となっているという厳しい現実も存在します。これは、まるで航海の途中で嵐に遭遇したり、航路を見失ったりしてしまうようなものです。

そこで、今回はクリニック開業に向けて乗り越えるべき7つの重要な準備項目について、わかりやすく解説していきます。それぞれの項目を深く掘り下げ、航海の安全を確保するための羅針盤を手に入れましょう。

クリニック開業までの流れ

クリニックを開業するまでには、どんな流れで準備を進めたら良いのでしょうか？ここでは、開業準備の全体像を把握するために、大まかな流れを7つのステップに分けて見ていきましょう。

1. 構想・計画策定
2. 市場調査
3. 資金調達
4. 物件取得・設計・施工
5. 医療機器・備品の選定・購入
6. スタッフの採用
7. 開業手続き・広報活動

これらのステップを一つずつ着実に進めていくことで、クリニック開業という壮大な航海を成功に導くことができるでしょう。

開業場所の選定基準

開業場所の選定は、クリニックの成功を大きく左右する重要な要素の一つです。患者さんにとって通いやすい場所であることはもちろん、周辺の環境や競合状況なども考慮する必要があります。

基準	説明	具体例
アクセスの良さ	患者さんにとって通いやすい場所であるかどうかは非常に重要です。これは、クリニックが、人々が集まりやすい場所にあるかどうかに似ています。	駅からの距離、バス停からの距離、駐車場の有無
人口・世帯数	周辺の人口や世帯数は、潜在的な患者数を予測する上で重要な指標となります。人口が多い場所ほど、患者さんも多くなる可能性が高いです。	年齢層、家族構成、所得水準
競合状況	周辺に同じような診療科目のクリニックがある場合、競争が激しくなる可能性があります。他のクリニックと差別化を図り、患者さんに選ばれるクリニックを目指しましょう。	競合クリニックの数、診療内容、評判
周辺環境	クリニック周辺の環境も重要な要素です。患者さんが安心して来院できるような、安全で快適な環境を選びましょう。	治安の良さ、商業施設の有無、公園などの緑地の有無

例えば、小児科を開業する場合は、近くに公園や小学校、幼稚園などがある住宅街が適していると言えるでしょう。小児科は、子供たちが安心して遊べる場所に近い方が、親御さんも安心して来院できます。

クリニックの設計・内装

クリニックの設計・内装は、患者さんに安心感と快適さを提供するために重要な要素です。患者さんがリラックスして診療を受けられるような空間作りを目指しましょう。

• 診察室: 患者さんのプライバシーに配慮し、落ち着いた雰囲気のデザインにすることが大切です。診察室は、患者さんにとって、自分の体や心の悩みを打ち明ける特別な空間です。安心感を与え、リラックスできるような、落ち着いた雰囲気のデザインにしましょう。
• 待合室: 明るく開放的な空間にすることで、患者さんの不安な気持ちを和らげることができます。待合室は、患者さんが診療を待つ間、緊張や不安を感じやすい場所です。明るく開放的な空間にすることで、リラックスできる雰囲気を作りましょう。
• 受付: クリニックの顔となる受付は、明るく清潔感のある印象を与えるように心がけましょう。受付は、患者さんがクリニックを訪れた際、最初に接する場所です。明るく清潔感のある印象を与えることで、患者さんに好印象を与え、安心感を与えることができます。

また、バリアフリー設計にすることで、高齢者や車椅子の方でも安心して来院できるクリニックになります。

医療機器・備品の選定

医療機器や備品の選定は、診療内容や規模、予算などを考慮しながら、患者さんに最適な医療を提供できるよう、慎重に行う必要があります。

1. 診療科目・診療内容に合わせた選定

例えば、内科では、聴診器、血圧計、心電計などが必須です。一方、整形外科では、レントゲン装置や超音波診断装置などが必要となります。診療科目や内容によって、必要な医療機器は異なります。

2. 最新技術の導入

最新の医療機器を導入することで、より精度の高い診断や治療が可能になります。最新の医療機器は、患者さんに、より質の高い医療を提供するために役立ちます。

3. コストパフォーマンス

医療機器は高額なものが多いですが、リースやレンタルを利用することで、初期費用を抑えることも可能です。コストパフォーマンスを考慮しながら、医療機器を選ぶことが大切です。

4. メンテナンス

医療機器は定期的なメンテナンスが欠かせません。信頼できる業者とメンテナンス契約を結んでおくことが大切です。医療機器を安全に使用するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。

スタッフの採用・教育

患者さんにとって、スタッフの対応はクリニックの印象を大きく左右する要素の一つです。クリニックの理念や方針を共有し、患者さんに寄り添った温かい対応ができるようなスタッフの採用と教育が重要となります。

1. 採用

• 患者さんとのコミュニケーション能力が高い人材：患者さんの言葉に耳を傾け、丁寧に説明ができる、コミュニケーション能力の高いスタッフは、患者さんに安心感を与えます。
• チームワークを重視できる人材：クリニックは、医師や看護師、受付スタッフなど、さまざまな職種の人が連携して働く場所です。チームワークを重視し、互いに協力し合える人材は、クリニック全体の業務を円滑に進めるために必要不可欠です。
• クリニックの理念に共感できる人材：クリニックの理念や方針に共感し、患者さんに寄り添った医療を提供することに情熱を持って取り組める人材は、クリニックにとって財産となります。

2. 教育

• 患者さん応対に関する研修：患者さんに気持ちよく来院してもらい、安心して診療を受けてもらうためには、患者さん応対のスキルアップが欠かせません。患者さんとのコミュニケーション方法や、電話対応、クレーム対応などを学び、患者さん満足度向上を目指します。
• 医療事務に関する研修：医療事務は、クリニックの運営を支える重要な役割を担っています。診療報酬請求業務や、会計業務、患者さん情報管理などを正確に行うために、医療事務に関する知識やスキルを習得する必要があります。
• 医療知識に関する研修：医療従事者として、常に最新の医療知識をアップデートしておくことが重要です。医療に関する法律や、倫理、感染症対策などを学び、患者さんに安全で安心な医療を提供できるよう努めましょう。

広報活動の重要性

クリニックを開業しても、患者さんに知ってもらえなければ、来院には繋がりません。そこで、開業前に効果的な広報活動を行い、クリニックの認知度を高めておくことが重要になります。

1. ホームページの作成

クリニックの情報発信の場として、ホームページは欠かせません。診療時間やアクセス方法、診療内容などを掲載することで、患者さんの疑問を解消することができます。ホームページは、クリニックの顔とも言える存在です。

2. 医療情報サイトへの掲載

近年では、様々な医療情報サイトがあり、クリニックの情報を掲載することで、多くの患者さんにアプローチすることができます。医療情報サイトは、患者さんが自分に合ったクリニックを探す際に利用することが多いです。

3. チラシ・パンフレットの作成

周辺地域に、クリニックの案内チラシやパンフレットを配布することで、地域住民への認知度向上を図ることができます。チラシやパンフレットは、クリニックの情報をわかりやすく伝えるための有効な手段です。

開業後の経営戦略

クリニックを開業したら、次は安定した経営を継続していくことが重要です。経営が軌道に乗るまでには、一般的には3～5年程度、長ければ10年程度かかる場合もあるとされています。安定した収入を得るためには、計画的な経営が必要です。

患者さんに選ばれるクリニックであり続けるためには、以下の3つのポイントを押さえる必要があります。

1. 患者満足度の向上

患者さんに満足していただき、繰り返し来院してもらうためには、丁寧な説明や待ち時間の短縮など、きめ細やかな対応を心がけることが大切です。患者さんにとって、わかりやすく丁寧な説明は、安心感に繋がります。

2. 地域医療への貢献

地域住民の健康増進に貢献するために、健康相談や講演会などを開催したり、他の医療機関と連携したりするのも有効です。地域住民の健康を支えることは、地域医療に貢献することに繋がります。

3. 経営の効率化

収益を安定させるためには、経営の効率化も重要な視点です。医療事務のIT化や在庫管理の徹底など、業務効率を高めることで、コスト削減に繋げることができます。無駄なコストを削減することで、より質の高い医療を提供できる環境を整備することができます。

クリニック開業時に準備しておきたい備品10選

クリニックを開業するにあたって、患者さんに安心して来院いただけるような空間作りは非常に大切です。快適な環境を提供するためには、診療に必要な医療機器だけでなく、患者さんが安心して過ごせる空間を作るための備品も重要となります。今回は、クリニック開業時に揃えておきたい基本的な備品を10のカテゴリーに分けて詳しく解説していきます。

診察室に必要な備品

診察室は、患者さんが医師と向き合い、自身の症状や治療について相談する大切な場所です。例えるならば、患者さんにとって安心できる「心の避難所」のような場所と言えるでしょう。そのため、患者さんがリラックスして悩みや不安を打ち明けられるような、安心感のある空間作りが重要になります。

診察室の備品を選ぶ際には、患者さんのプライバシーに配慮することが重要です。例えば、診察台は周囲から見えにくい場所に設置したり、カーテンで仕切れるようにするなどの工夫が必要です。

備品	説明	具体例	医師としての視点
診察台	患者さんが診察を受ける際に座ったり、横になったりする際に使用する台	電動診察台、油圧診察台	患者さんの体格や状態に合わせて、高さや角度を調整できる電動診察台は、患者さんの負担を軽減するだけでなく、医師にとっても診察しやすい環境を提供してくれます。
診察灯	患部を明るく照らし、医師が正確な診断を行うために使用する照明器具	無影灯、ペンライト	無影灯は、影を作ることなく患部を明るく照らすことができるため、皮膚の状態や患部の微妙な変化を見逃すことなく診察することができます。
医療用カート	診察に必要な医療器具や書類などを収納し、移動をスムーズに行うためのカート	多段式カート、トレー式カート	必要な医療器具を整理整頓して収納できる医療用カートは、診察中のスムーズな動きをサポートし、診察時間の短縮にも繋がります。
デスク&チェア	医師が診察記録を確認したり、患者さんにお薬の説明をする際に使用する机と椅子		患者さんと視線を合わせやすく、リラックスして会話ができるような高さのデスクと、座り心地の良いチェアを選びましょう。
パソコン	電子カルテシステムの入力や、医療情報検索などに使用する		電子カルテシステムの導入により、診察時間の短縮や医療情報の共有などが可能になります。
血圧計	患者さんの血圧を測定する医療機器	自動血圧計、水銀血圧計	高血圧は自覚症状がないまま進行することが多いため、血圧測定は非常に重要です。
体温計	患者さんの体温を測定する医療機器	電子体温計、非接触型体温計	体温は、様々な病気のサインとなるため、正確に測定できる体温計を選びましょう。
聴診器	患者さんの心音や呼吸音などを聴診する医療機器		聴診器は、医師にとって患者さんの体内の音を聴き、診断の手がかりを得るための重要な道具です。
身長計&体重計	患者さんの身長と体重を測定する医療機器		身長と体重は、患者さんの健康状態を把握するための基本的な情報です。肥満や低体重なども、様々な病気のリスク因子となります。
その他		ハンガーラック、ゴミ箱、ティッシュケース、時計	ハンガーラックは、患者さんのコートや荷物を掛ける場所として、また、ゴミ箱は、使用済みのティッシュなどを捨てる場所として必要です。ティッシュケースや時計は、患者さんが快適に過ごせる空間作りのために設置しておくと良いでしょう。

診察室は、患者さんにとって自分の体や心の悩みを打ち明ける特別な空間です。安心感を与え、リラックスできるような、落ち着いた雰囲気のデザインにしましょう。

処置室に必要な備品

処置室は、医師が患者さんに簡単な処置を行う際に使用する部屋です。怪我の治療や採血など、様々な処置が行われます。清潔な状態を保つことが非常に重要で、使用した医療器具は適切に洗浄・消毒・滅菌する必要があります。

備品	説明	具体例	医師としての視点
処置台	患者さんが処置を受ける際に横になる台		処置内容や患者さんの体格に合わせて、適切な高さに調整できるものが望ましいです。
医療用ワゴン	処置に必要な医療器具や医薬品を収納し、移動できるワゴン		処置に必要なものをまとめて収納しておくことで、スムーズな処置を行うことができます。
器具トレー	処置に必要な医療器具を置いておくトレー	ステンレス製トレー	ステンレス製のトレーは、耐久性に優れており、滅菌処理にも対応しているため、衛生面でも安心です。
照明器具	処置部分を明るく照らすために必要な照明器具	無影灯	処置室の照明は、患部をしっかりと確認できる明るさが必要となります。
手洗いユニット	処置前後に医師や看護師が手を洗うためのユニット		感染症予防の基本である手洗いを徹底するために、手洗いユニットは処置室に欠かせない設備です。
消毒用アルコール	医療器具や患部を消毒するために使用するアルコール		医療現場では、様々な感染症のリスクが存在するため、消毒用アルコールは必須アイテムです。
ガーゼや綿球などの衛生材料	処置の際に使用		処置の内容に応じて、必要な衛生材料を揃えておく必要があります。
救急セット	急変時にも対応できるように、救急セットを常備		万が一、患者さんの容態が急変した場合に備え、救急セットを常備しておくことは、医療現場において非常に重要です。
その他		医療廃棄物ボックス、タイマー	医療廃棄物ボックスは、使用済みの注射針やメスなどを安全に廃棄するために必要です。タイマーは、処置時間の管理などに使用します。

処置室は、患者さんが不安や恐怖を感じやすい場所でもあります。例えば、注射や採血など、痛みを伴う処置を受ける際には、患者さんはどうしても不安を感じてしまうものです。そのため、患者さんに安心感を与えるために、清潔感のある明るい空間作りを心がけましょう。また、医師や看護師が動きやすいように、スペースを十分に確保しておくことも大切です。

待合室に必要な備品

待合室は、患者さんが診察や処置を受ける前に待機する場所です。患者さんがリラックスして過ごせるように、居心地の良さを意識した空間作りが重要です。また、クリニックの雰囲気を感じ取れる場所でもあるので、クリニックのコンセプトに合った空間作りを心がけましょう。

備品	説明	具体例	医師としての視点
ソファや椅子	患者さんが座って待つ際に使用する。クリニックの規模や雰囲気に合わせて選ぶ		待合室の椅子は、患者さんが長時間座っていても疲れにくいものを選ぶことが大切です。特に、高齢者の患者さんが多い場合は、立ち座りがしやすい椅子を選ぶなどの配慮が必要です。
テーブル	雑誌やパンフレットなどを置く		テーブルは、患者さんが飲み物を置いたり、荷物の一時置き場として利用したりする際に便利です。
雑誌	患者さんが待ち時間を退屈せずに過ごせるように、様々なジャンルの雑誌を置く	医療情報誌、週刊誌、ファッション誌	医療情報誌は、患者さんに病気や健康に関する知識を深めてもらうために役立ちます。また、週刊誌やファッション誌などは、患者さんの気分転換に繋がります。
絵本やおもちゃ	小児科など、子供が来院するクリニックでは、子供が楽しく過ごせるような絵本やおもちゃを置く		子供が安心して遊べるキッズスペースを設けることで、子供連れの患者さんも安心して来院することができます。
テレビ	ニュースや情報番組などを流す		テレビは、患者さんが待ち時間を退屈せずに過ごせるようにするためのアイテムの一つです。
空気清浄機	ウイルス対策や花粉症対策として設置する		特に、インフルエンザなどの感染症が流行する時期には、空気清浄機を設置することで、院内感染のリスクを低減することができます。
加湿器	特に乾燥する季節は、適切な湿度を保つために設置する		乾燥した空気は、ウイルスが活性化しやすくなるため、加湿器を使って適切な湿度を保つことは、感染症予防に繋がります。
冷暖房器具	快適な室温を保つために設置する	エアコン、ヒーター	待合室は、患者さんが快適に過ごせる温度に保つことが大切です。
その他		観葉植物、時計、スリッパ	観葉植物は、空間を明るく彩り、リラックス効果も期待できます。時計は、患者さんが時間を確認するために必要です。スリッパは、患者さんが靴を脱いでリラックスできるように用意しておくと良いでしょう。

待合室は、患者さんにとってクリニックの第一印象を決める重要な場所です。明るく清潔感のある空間にすることで、患者さんに好印象を与え、安心感を与えることができます。

受付に必要な備品

受付は、患者さんがクリニックを訪れた際に、最初に接する場所です。そのため、患者さんが気持ちよく来院できるよう、明るく丁寧な対応を心がけることが重要です。受付の担当者は、クリニックの顔としての役割を担います。

備品	説明	具体例	医師としての視点
受付カウンター	患者さんの受付や会計を行う際に使用するカウンター		受付カウンターは、患者さんとスタッフの距離を適切に保ち、スムーズな対応を行うために必要なものです。
パソコン	患者情報を入力したり、会計処理を行う際に使用する		患者情報管理システムや会計ソフトなどを導入することで、業務効率化を図ることができます。
プリンター	診察券や領収書などを印刷する		患者情報や診察内容などを印刷するために、プリンターは必要不可欠です。
電話機	患者さんからの予約や問い合わせの対応に使用する		電話対応は、患者さんとの大切なコミュニケーションの場です。
レジスター	会計業務を行う際に使用する		会計業務をスムーズに行うために、レジスターは必要不可欠です。
金庫	現金の保管に使用する		現金の取り扱いには、セキュリティ面にも十分配慮する必要があります。
名刺入れ	クリニックの名刺を入れておく		名刺は、クリニックの情報を伝えるためのツールとして重要です。
ペン立て	受付で使用するペンを入れておく		ペン立ては、受付周りを整理整頓するために役立ちます。
その他		消毒液、トレイ、書類整理ケース	消毒液は、患者さんに安心して来院いただけるよう、受付に設置しておきましょう。トレイは、診察券や保険証などを一時的に預かる際に使用します。書類整理ケースは、受付で使用する書類などを整理整頓するために必要です。

受付は、患者さんの個人情報を取り扱う場所でもあるため、セキュリティ対策も重要です。個人情報保護法に基づき、患者情報の管理を徹底する必要があります。また、クレジットカード決済に対応する場合には、クレジットカード端末などの導入も検討しましょう。

検査室に必要な備品

検査室は、患者さんの血液検査や尿検査、心電図検査などを行う場所です。検査内容によって必要な備品は異なりますが、清潔で整理整頓された環境を保つことが重要です。検査機器は、定期的なメンテナンスを行い、常に正確な検査結果が得られるよう管理する必要があります。

備品	説明	具体例	医師としての視点
検査台	患者さんが検査を受ける際に横になる台		患者さんがリラックスして検査を受けられるよう、清潔で快適な検査台を選びましょう。
顕微鏡	血液や尿などの検体を拡大して観察する際に使用する機器	光学顕微鏡	顕微鏡は、微細な構造を観察するために必要な機器です。
遠心分離機	血液などを成分ごとに分離する際に使用する機器		遠心分離機は、血液検査などで、血球と血漿を分離するために使用します。
自動分析装置	血液や尿などを自動で分析する機器		自動分析装置は、血液検査などで、血糖値やコレステロール値などを測定するために使用します。
心電計	患者さんの心臓の活動状態を記録する機器		心電計は、心臓の動きを電気信号として捉え、波形として記録する機器です。不整脈などの診断に役立ちます。
超音波検査装置	超音波を用いて、体内の臓器の状態を画像化する機器		超音波検査装置は、人体に無害な超音波を使って、臓器の形態や動きをリアルタイムで観察することができます。
試薬	検査に使用する薬品		試薬は、検査結果に影響を与える可能性があるため、適切に管理する必要があります。
その他		冷蔵庫、冷凍庫、手袋、マスク	冷蔵庫や冷凍庫は、試薬や検体を適切な温度で保管するために必要です。手袋やマスクは、感染症予防のために使用します。

検査室は、患者さんにとって少し緊張する場所でもあります。例えば、採血や注射など、痛みを伴う検査を受ける際には、患者さんは不安や緊張を感じてしまうものです。リラックスして検査を受けてもらえるよう、温かみのある空間作りを心がけましょう。また、検査結果の説明を行う際にも、患者さんが理解しやすいよう、わかりやすい言葉で説明することが大切です。

滅菌室に必要な備品

滅菌室は、医療器具を滅菌処理する専用の部屋です。医療器具を滅菌することで、感染症のリスクを低減することができます。滅菌室は、清潔な状態を保つことが非常に重要です。滅菌処理の方法には、主にオートクレーブ滅菌とガス滅菌の2種類があります。

備品	説明	具体例	医師としての視点
オートクレーブ	高温高圧の蒸気を使って医療器具を滅菌する機器		オートクレーブは、高温高圧の蒸気を用いることで、細菌やウイルスなどの微生物を死滅させることができます。
ガス滅菌器	薬剤を用いて医療器具を滅菌する機器	エチレンオキサイドガス滅菌器	ガス滅菌器は、高温に弱い医療器具を滅菌する際に使用します。
滅菌パック	滅菌処理をした医療器具を保管するための袋		滅菌パックは、滅菌処理をした医療器具を清潔な状態で保管するために使用します。
滅菌テープ	滅菌処理が適切に行われたことを確認するためのテープ		滅菌テープは、滅菌処理が適切に行われたかどうかを一目で確認するために使用します。
手洗いユニット	滅菌作業の前後には、必ず手洗いを行う		滅菌室に入る前と出た後には、必ず手洗いを行いましょう。
作業台	滅菌作業を行う際に使用する台		作業台は、清潔な状態に保ちましょう。
その他		収納棚、タイマー	収納棚は、滅菌処理をした医療器具を整理整頓して保管するために必要です。タイマーは、滅菌処理の時間を管理するために使用します。

滅菌室は、医療安全を守る上で非常に重要な役割を担っています。院内感染を防ぐためには、医療器具の滅菌を適切に行うことが不可欠です。そのため、滅菌処理に関する知識や技術を習得したスタッフが、適切な手順で作業を行う必要があります。また、滅菌機器の定期的なメンテナンスを行い、常に正常な状態で使用できるよう管理体制を整えておく必要があります。

スタッフステーションに必要な備品

スタッフステーションは、医師や看護師など、クリニックのスタッフが情報共有や休憩などを行うためのスペースです。クリニックの円滑な運営を支える上で重要な役割を果たします。スタッフが働きやすい環境を作ることで、業務効率の向上やモチベーションアップに繋がります。

備品	説明	具体例	医師としての視点
デスク&チェア	スタッフがデスクワークを行う際に使用する机と椅子		デスクワークを行うスタッフにとって、長時間座っていても疲れにくい椅子を選ぶことは、健康面にも配慮するために重要です。
パソコン	電子カルテの入力や、患者情報の共有などに使用する		電子カルテシステムや医療情報システムを導入することで、情報共有や業務効率化を図ることができます。
電話機	院内や院外からの電話対応に使用する		電話機は、患者さんや他の医療機関との連絡に必要不可欠なものです。
ホワイトボード	スケジュール共有や、患者情報などの共有に使用する		ホワイトボードは、スタッフ間での情報共有をスムーズに行うために役立ちます。
書類棚	診療記録や書類などを整理整頓して保管するための棚		診療記録や書類などを適切に保管することは、個人情報保護の観点からも重要です。
その他		冷蔵庫、電子ケトル、時計	冷蔵庫は、スタッフの飲み物や弁当などを保管するために、電子ケトルは、温かい飲み物を飲む際に、時計は、時間を確認するために必要です。

スタッフステーションは、スタッフがコミュニケーションを取りやすく、リラックスできる空間であることが理想です。例えば、コミュニケーションが活発になるように、デスクの配置を工夫したり、休憩時間にはリラックスできるようなソファなどを置くことも考えられます。

医師事務作業補助者席に必要な備品

医師事務作業補助者席は、医師事務作業補助者が医師の指示のもと、診療記録の作成や、診断書などの書類作成、電話対応などを行うためのスペースです。医師の事務作業をサポートすることで、医師が診療に集中できる環境を作るだけでなく、患者さんの待ち時間の短縮にも繋がります。

備品	説明	具体例	医師としての視点
デスク&チェア	医師事務作業補助者が作業を行う際に使用する机と椅子		デスクワーク中心の医師事務作業補助者にとって、快適な作業環境を提供することは非常に重要です。
パソコン	診療録の作成や書類作成、予約管理などに使用する		診療録の作成や書類作成、予約管理などを効率的に行うために、パソコンは必要不可欠なツールとなっています。
プリンター	診療録や書類などを印刷する		診療録や書類などを印刷するために、プリンターは必須です。
電話機	患者さんからの電話対応や、他の医療機関との連絡に使用する		患者さんからの電話対応は、クリニックの顔として、丁寧な対応を心がける必要があります。
シュレッダー	個人情報が含まれる書類を廃棄する際に使用する		患者さんの個人情報を含む書類を廃棄する際は、シュレッダーを使用し、情報漏洩を防ぎましょう。
その他		ペン立て、書類トレー、書類整理ケース	ペン立てや書類トレー、書類整理ケースなどは、デスク周りを整理整頓するために役立ちます。

医師事務作業補助者席は、個人情報を取り扱うことも多いため、セキュリティ対策も重要です。患者情報の管理を徹底し、プライバシーに配慮した環境作りが必要です。また、医師や看護師との連携がスムーズに行えるよう、コミュニケーションしやすい位置にデスクを配置するなどの工夫も大切です。

電子カルテシステム

電子カルテシステムは、従来の紙のカルテではなく、コンピューター上で患者情報や診療記録を管理するシステムです。クリニックの業務効率化や、医療安全の向上に大きく貢献します。

メリット

• 診療記録の検索や参照が容易になり、診察時間の短縮に繋がる。
• 過去の診療記録を簡単に参照できるため、より適切な診療が可能になる。
• 紙のカルテを保管するスペースが不要になる。
• 他の医療機関との連携がスムーズになる。

導入時の注意点

• システムの導入費用や、保守費用などのコストがかかる。
• スタッフがシステム操作に慣れるまで、時間がかかる場合がある。
• セキュリティ対策をしっかりと行う必要がある。

電子カルテシステムを導入することで、紙カルテの管理にかかる時間やコストを削減し、より多くの患者さんを診察できるようになります。また、過去の診療記録を簡単に参照できるようになり、より適切な診療を提供できるようになります。さらに、他の医療機関との連携もスムーズになり、患者さんの紹介や転院などもスムーズに行えるようになります。

医療DX推進体制整備加算を算出してもらうためにも、電子カルテシステムの導入は欠かせません。医療DX推進体制整備加算の概要や算出要件などは、こちらの記事を参考にしてください。

医療DX推進体制整備加算とは？改定の内容やDX化のメリットを解説

セキュリティ対策

クリニックは、患者さんのプライバシーや個人情報を扱う場所であるため、セキュリティ対策は非常に重要です。患者さんの大切な情報を守るために、適切な対策を講じる必要があります。

具体的なセキュリティ対策

• 入退室管理: 不正な侵入を防ぐため、クリニックの出入り口にセキュリティシステムを導入する。
• アクセス権限の設定: 電子カルテシステムなどの重要な情報には、アクセス権限を設定し、許可された担当者のみがアクセスできるようにする。
• ウイルス対策ソフトの導入: コンピューターウイルスによる情報漏えいを防ぐため、ウイルス対策ソフトを導入し、常に最新の状態に保つ。
• ファイアウォールの設置: 外部からの不正アクセスを防ぐため、ファイアウォールを設置する。
• スタッフへの教育: セキュリティに関する意識を高め、適切な情報管理を行うよう、スタッフに対して定期的なセキュリティ教育を実施する。

これらのセキュリティ対策を講じることで、患者さんが安心してクリニックに通院できる環境を提供できます。

クリニック開業は準備が肝心！入念に実施しよう

クリニック開業は、綿密な計画と準備が不可欠です。開業場所の選定、設計・内装、医療機器・備品の選定、スタッフの採用・教育、広報活動など、様々な要素を考慮する必要があります。

患者満足度向上、地域医療への貢献、チーム医療の推進、最新医療技術の導入など、開業後の経営戦略も重要です。これらのポイントを押さえ、医師としての熱い思いを実現しましょう。

本記事では施設や備品の準備についてお話していますが、医業経営や資金調達の詳細は厚生労働省のホームページもあわせてチェックしてみてください。

医療法人・医業経営のホームページ