医療DX補助金には何がある？活用して病院経営をアップデートしよう

病院の経営は、医療機器の維持や人件費など、多くの費用がかかり、最新医療の導入も容易ではありません。

国は、このような病院経営を支援するため、「医療DX補助金」という制度を設けています。

この記事では、病院の経営をアップデートする「医療DX補助金」について、その種類や申請方法、活用事例などを詳しく解説します。最新の医療設備導入や業務効率化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

医療DX補助金とは？申請のメリット・デメリット、活用事例を紹介

病院は、私たちが病気やケガをした時、いつでも頼れる場所であってほしいですよね。でも、病院を運営するためには、たくさんのお金や人手が必要です。

さらに、医療の現場は日々進化しています。新しい薬や治療法が開発され、患者さんのニーズも多様化しています。このような状況の中、病院は質の高い医療を提供し続けながら、経営を安定させる必要があります。

そこで、国では「医療DX補助金」という制度を使って、病院を応援しています。この補助金は、病院が最新の設備やシステムを導入するお手伝いをするものです。

「DX」って何か難しそう…と思う方もいるかもしれません。DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、簡単に言うと「デジタル技術を使って、生活をもっと便利に、豊かにすること」です。

医療の分野でも、このDXが進んでいます。例えば、紙のカルテを電子カルテにしたり、レントゲンやCTなどの検査結果を、コンピューターで簡単に確認できるシステムを導入したり、といったことが行われています。

医療DX補助金でできること

医療DX補助金を使うと、病院は、具体的にどんなことができるのでしょうか？いくつか例をあげてみましょう。

病院の中に、最新のコンピューターやシステムを導入する 

例えば、紙のカルテを電子カルテにすることで、医師や看護師は、患者さんの情報に、いつでもどこでもアクセスできるようになります。

病院で働く人たちのための、新しい機器や設備を導入する 

例えば、最新の医療機器や便利なシステムを導入し、患者の状態を常時モニタリングしつつ、医療スタッフの業務効率を向上させます。特に心臓カテーテル検査や脳血管内治療などの専門分野で、安全で効果的な治療が可能になります。

患者さんが、もっと便利に病院を利用できるようなシステムを導入する

 例えば、インターネットで診察の予約をしたり、お薬の処方箋を受け取れるようにしたりできます。

このように、医療DX補助金は、病院がより良い医療を提供し、患者さんがより快適に病院を利用できるよう、様々な取り組みを支援しています

医療DX補助金導入によるメリット

医療DX補助金を導入すると、病院にはどんな良いことがあるのでしょうか？]

コスト削減、業務効率の向上、競争力強化、リスク軽減、社会的評価

コスト削減の助け

補助金を活用することで、デジタル化に伴う初期費用（設備やシステム導入費、ソフトウェア開発費など）を軽減できるため、資金面での負担が大幅に減少します。

業務効率の向上

補助金を利用して医療DXを推進することで、業務の効率化が進み、医療従事者の負担軽減や患者の利便性向上が期待できます。たとえば、電子カルテの導入やオンライン診療システムの強化など。

技術革新による競争力強化

デジタル技術を早期に取り入れることで、他の医療機関との差別化を図り、競争力を強化することができます。これにより、患者の信頼性向上や新しい診療サービスの提供が可能になります。

政府や自治体の支援によりリスクが軽減

国や自治体の支援を受けてデジタル化を進めることで、技術導入に伴うリスクが軽減され、より安全にシステムを導入できます。また、技術選定に関する支援やアドバイスを受けられる場合もあります。

社会的要請への対応

医療DXは社会全体の課題解決に寄与するため、補助金を利用して積極的に取り組むことで、医療機関が社会的な評価を得やすくなる可能性があります。

このように、医療DX補助金は、病院と患者さん、両方にメリットをもたらします。

医療DX補助金導入によるデメリット

医療DX補助金を導入する際には、いくつかの注意点があります。

維持コスト、補助金の制約、手続きの煩雑さ、効果が不透明、技術革新のスピード

導入後の維持コスト

補助金を受けて初期導入は行いやすいものの、その後のシステム維持・管理にかかるコストや人材確保が必要です。

補助金の条件や制約

補助金には利用条件や対象事業に関する制約がある場合があります。補助金を得るために、計画を補助金の要件に合わせる必要があり、必ずしも医療機関の最適な選択ができるわけではありません。

申請手続きの複雑さ

補助金申請の手続きや書類作成が複雑で、時間と労力がかかることがあります。

長期的な効果が不透明

一部のデジタル化技術は導入直後に効果が見られますが、長期的な効果や本格的なコスト削減がどの程度実現できるか不透明な場合があります。

技術の急速な進化による陳腐化リスク

医療DXに関する技術は急速に進化しているため、補助金で導入した技術やシステムが短期間で陳腐化するリスクがあります。

このように、医療DX補助金を導入する際には、事前にしっかりと準備し、計画的に進めていくことが大切です。

医療DX補助金導入の具体的事例

では、実際に医療DX補助金を使って、どんな取り組みが行われているのでしょうか？具体的な例を、いくつか紹介しましょう。

• ある病院では、医療DX補助金を活用して、電子カルテシステムを導入しました。 その結果、紙カルテの保管スペースが不要になったり、医師や看護師の業務効率が向上したりするなど、大きな効果が出ています。また、電子カルテシステムの導入により、患者さんの待ち時間の短縮にもつながっています。
• また、別の病院では、医療DX補助金を活用して、遠隔医療のための情報通信機器を整備しました。 これにより、専門医の少ない地域でも、都市部の病院の医師が、遠隔で診察や手術の指導を行うことができるようになりました。遠隔医療は、地理的な制限を超えて、専門性の高い医療を提供できるという大きなメリットがあります。

このように、医療DX補助金は、全国各地の病院で、様々な形で活用されています。

医療DXを導入する病院が受けられる補助金

病院の経営が厳しいというニュースを耳にすることもあるかもしれません。病院は、私たちが病気やケガをした時に、安心して頼れる場所であってほしいと願う一方で、病院を運営していくためには、医療機器の維持や人件費など、たくさんのお金が必要となります。さらに、医療技術は日進月歩で進歩しており、新しい治療法や薬が開発される度に、それらを導入するための費用も発生します。

このような状況の中、国は病院が最新の設備やシステムを導入し、より質の高い医療を提供し続けられるよう、「医療DX補助金」という制度で病院を支援しています。

医療情報化支援基金とは

「医療情報化支援基金」とは、病院が電子カルテシステムなどの医療情報システムを導入したり、改修したりする際に、その費用の一部を補助してくれる制度です。

例えば、皆さんが病院を受診した際に作成されるカルテ。以前は紙ベースで管理されていましたが、最近では多くの病院で電子カルテシステムが導入されています。

紙カルテの場合、過去の診療記録を調べるために分厚いファイルを探したり、受付や会計で待たされることも少なくありませんでした。しかし、電子カルテシステムを導入することで、患者さんの待ち時間を減らし、医師や看護師がより多くの時間を患者さんの診療に充てることができるようになります。

医療情報化支援基金は、このような医療現場のデジタル化を促進し、患者さんがより質の高い医療を受けられるよう、厚生労働省が運営しています。

詳しくはこちらトップページ ｜ IT導入補助金2024

IT導入補助金2024とは

「IT導入補助金2024」は、病院を含む中小企業が、業務効率化やサービス向上のためにITツールを導入する際に活用できる補助金です。

この補助金は、病院の規模や導入するシステムによって補助額は異なりますが、最大で450万円まで補助されます。

例えば、病院の受付業務を効率化するために、自動受付システムを導入するケースを想像してみてください。従来の病院の受付では、診察券を発行したり、患者さんの情報を手入力したりと、多くの時間と手間がかかっていました。しかし、自動受付システムを導入することで、患者さんはスムーズに受付を済ませることができ、病院側は受付業務の効率化を実現できます。

このように、IT導入補助金2024は、病院が抱える様々な課題をITの力で解決し、患者さんにとってより快適で質の高い医療を提供できるよう、支援しています。

詳しくはこちら医療情報化支援基金等 – 社会保険診療報酬支払基金

遠隔医療に関する補助金とは

「遠隔医療に関する補助金」は、地理的な条件によって専門的な医療を受けることが難しい地域に住む患者さんのために、病院が遠隔診療システムを導入する費用を補助する制度です。

離島や過疎地域に住んでいると、専門的な治療や診察を受けるために、遠くの病院まで行かなければならない場合があり、患者さんにとって大きな負担となっていました。しかし、遠隔医療に関する補助金を活用して、テレビ電話を使ったオンライン診療システムや、患者さんのバイタルデータを病院でリアルタイムに確認できる遠隔モニタリングシステムなどを導入することで、都市部と変わらない医療を、より多くの患者さんに届けられるようになります。

例えば、専門医の不足が深刻な地域でも、この補助金を利用することで、都市部の病院にいる専門医が、遠隔で診察や手術の指導を行うことが可能になります。これは、地理的な 障害を克服し、患者さんに平等な医療を提供するための、非常に重要な取り組みと言えるでしょう。

詳しくはこちら遠隔医療に関するホームページ – 厚生労働省

各自治体における補助金とは

国からの医療DXの補助金に加えて各自治体から加えて補助金がもらえるケースがあります。各自治体が提供する補助金は、その地域特有の医療ニーズや状況に基づいてカスタマイズされています。

たとえば、地方では、過疎地や高齢者が多い地域における医療アクセスの問題が課題となっているため、遠隔診療システムの導入に対する支援が重点的に行われることが多いです。

一方、都市部では、患者の増加に対応するための業務効率化やAIを活用した診断支援ツールの導入が支援対象となる場合があります。また、都市部特有の問題として、急増する外国人観光客や多様な言語を話す患者への対応が求められることが多く、多言語対応の医療システムやAI翻訳ツールの導入支援が行われることもあります。これにより、各自治体は地域の医療機関が抱える固有の課題に合わせたサポートを提供し、地域ごとの医療体制強化を図っています。

医療DX補助金を申請する流れ

医療DX補助金を活用して、病院の経営をアップデートしようと考えている方もいるのではないでしょうか？最新の医療機器やシステムを導入したいと思っても、費用面がネックになり、なかなか踏み切れないという病院関係者の方も多いかもしれません。

医療DX補助金は、そんな病院の負担を軽減し、より質の高い医療を提供できる環境を整えるために、国が提供する制度です。

医療DX補助金を申請するには、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、医療DX補助金の申請の流れをわかりやすく解説していきます。

申請資格を確認

医療DX補助金を申請するには、まず、それぞれの補助金が定める申請資格を満たしているかを確認する必要があります。

補助金の種類によって、対象となる医療機関の規模や診療科目、導入するシステムなどが細かく定められています。

例えば、「IT導入補助金2024」は、主に中小企業を対象とした補助金ですが、医療機関も申請することができます。この補助金は、電子カルテシステムや電子請求システムなど、ITツール導入費用の最大450万円までを補助するもので、病院の業務効率化や患者さんの待ち時間短縮に貢献することが期待されています。

しかし、同じITツール導入であっても、大規模病院を対象とした別の補助金制度の場合、対象となるシステムや補助金額が異なる場合があります。そのため、自分の病院が希望する補助金の要件を満たしているかどうか、事前にしっかりと確認することが重要です。

必要書類を準備

申請資格を満たしていることが確認できたら、次に、必要書類を準備します。必要書類は、補助金の種類によって異なりますが、一般的には、以下のようなものが求められます。

事業計画書、収支報告書、見積書、登記簿謄本、医療機関の定款、直近の事業決算書

• 事業計画書: 医療DX導入によって、病院の経営状況や医療提供体制をどのように改善し、どのような成果を目指すのかを具体的に記載します。例えば、電子カルテシステムの導入によって、医師や看護師が患者さんの情報にスムーズにアクセスできるようになり、診療時間の短縮や医療ミスの防止につながるといった具体的な効果を盛り込む必要があります。
• 収支予算書: 医療DX導入にかかる費用と、その後の収支見込みを具体的に記載します。導入費用だけでなく、システム運用に伴うランニングコストや、職員の研修費用なども含めて、しっかりと予算計画を立てる必要があります。
• 見積書: 導入するシステムやサービスの見積書を提出します。複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが重要です。
• 登記簿謄本: 医療機関の登記簿謄本を提出します。
• 医療機関の定款: 医療機関の運営に関する基本的な規則が記載された書類を提出します。
• 直近の事業年度の決算書: 医療機関の財務状況を把握するために、直近の事業年度の決算書を提出します。

これらの書類は、医療機関の現状と将来展望を具体的に示す、いわば「病院の顔」となるものです。審査する側も、これらの書類に基づいて、補助金の交付を決定します。補助金申請をスムーズに進めるためにも、正確な情報を記載するようにしましょう。

申請窓口に提出

必要書類がすべて揃ったら、最後に、申請窓口に提出します。申請窓口も、補助金の種類によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。

例えば、「医療情報化支援基金」は、厚生労働省が設置した基金で、医療機関の情報化を促進するために、医療情報システムの導入や改修を支援しています。

申請書類の提出は、郵送やオンラインなど、補助金によって提出方法が異なります。提出期限が設けられている場合がほとんどなので、余裕を持って提出するようにしましょう。

医療DX関連の補助金を利用して、業務を効率化しよう

医療DX補助金とは、病院が最新の設備やシステムを導入する費用を補助する制度です。電子カルテシステム導入や遠隔医療環境整備など、病院の経営改善や質の高い医療提供を支援する目的があります。

コストが理由で医療DXへなかなか踏み切れない方は、ぜひ活用してみましょう！