落下傘開業とは？成功するための戦略を徹底解説【失敗しない】

落下傘開業とは、医局や勤務先の総合病院を離れ、全く新しい土地でクリニックを開業する形態のことです。

落下傘開業に挑戦するにあたり、「この地域に自分のクリニックは受け入れてもらえるだろうか？」 など不安は尽きないですよね。

この記事では、落下傘開業で成功するための準備、開業後の戦略について解説します。この記事を読むことで落下傘開業の注意点を知ることができ、失敗の確立を減らすことができます。

理想のクリニック開業に向けて、以下の内容をしっかりと押さえておきましょう。

【開業前】落下傘開業の準備で押さえたい3ポイント

開業場所も決まっていない、右も左もわからない状態での開業は、まさに「落下傘」という言葉がピッタリかもしれません。しかし、綿密な準備と戦略があれば、必ず成功に導くことができます。

ここでは、落下傘開業のデメリットを克服するための重要ポイントを3つ解説していきます。

落下傘開業こそ綿密に：市場調査と診療圏分析

落下傘開業において、綿密な市場調査と診療圏分析は成功の鍵を握ると言っても過言ではありません。なぜなら、全く土地勘のない場所での開業は、その地域の人口動態や医療ニーズ、競合状況などを把握することが、開業後の戦略に大きく影響するからです。

具体的には、次のような項目について調査する必要があります。

• 人口動態: 年齢層、家族構成、人口増加率などを分析し、ターゲットとなる患者層を明確化します。例えば、若い世代が多い地域であれば、小児科や産婦人科のニーズが高まります。高齢者が多い地域であれば、内科や整形外科の需要が高まると予想できます。地元の自治体のホームページや統計資料を参考にすると良いでしょう。
• 医療機関の状況: 診療科目、規模、患者数などを調査し、競合状況や診療圏における自院のポジショニングを分析します。自身の専門分野と地域のニーズが合致しているか、競合が多い場合は差別化できる要素があるかなどを検討します。実際に足を運んで診療時間や混雑状況、患者層などを観察することも重要です。
• 生活環境: 交通アクセス、商業施設、住宅地などを考慮することで、クリニックの立地選定に役立ちます。駅からの距離、駐車場の有無、周囲の環境は、患者にとって通いやすさに関わる重要な要素となるためです。

これらの情報を収集・分析することで、患者獲得のための戦略やクリニックのコンセプトを明確化することができます。

落下傘開業のリスクを抑える：運転資金と医療機器のバランス

開業には多額の資金が必要。自己資金だけでなく、金融機関からの融資も視野に入れ、資金調達計画をしっかりと立てねばなりません。開業資金は、賃料や内装工事費、医療機器の購入費、人件費など、様々な用途に必要となります。

特に医療機器は高額であり、高度な医療を提供したいという思いから資金を割きがちです。ただ、患者数が安定するまでに時間がかかる落下傘開業では運転資金は多めに確保するべきです。

医療機器はどのレベルまで必要なのかよく検討し、運転資金とのバランスを意識しましょう。

開業前にもできる：地域医療ネットワークの構築

落下傘開業の場合、地域医療ネットワークを築くことが特に重要となります。最初は地域の医療機関とのつながりがないため、紹介患者を受け入れる体制を整えることが必須です。

具体的には、開業前に地域の病院やクリニックを訪問し、自己紹介や診療内容の説明を行い、関係性を築いておくことが重要。その際には、自身の専門分野や診療方針を明確に伝え、地域医療への貢献意欲を示すことが効果的です。

また、地域の医師会に加入することで、他の医療機関との交流を深めたり、情報交換を行うことも有効です。医師会が主催する勉強会や懇親会に積極的に参加して信頼関係を構築し、円滑な病診連携に繋げていきましょう。

各地域の医師会にはこの様なホームページ（例として東京都医師会）があるので、必ず参照しましょう。

【開業後】落下傘開業で成功するための3つの戦略

上記の様に綿密な戦略と地域への理解を深めることで、開業前の準備を整えることができました。ここからは開業後の戦略について確認していきましょう。

成功の鍵は3つの戦略。すなわち、

• 患者獲得のための地域密着型戦略
• 競合との差別化を図る専門性
• 効果的な広告展開

です。これらを具体的にみていきましょう。

地域密着型の開業戦略

落下傘開業の場合、地域住民にとってあなたはまだ見知らぬ医師です。まずはクリニックの存在を知ってもらい、地域に根ざした医療機関として信頼を得ることを目指しましょう。

そのために有効なのが地域密着型の戦略です。 例えば、地域のお祭りやイベントに積極的に参加したり、地域のボランティア活動に協力したりすることで、住民との距離を縮めることができます。このとき、地域住民の顔と名前を覚えるように意識することが大切です。

また、地域情報誌にクリニックの案内を掲載したり、地元の新聞に健康に関するコラムを寄稿したりするのも効果的です。特に、地元の新聞に健康に関するコラムを寄稿することで、専門性をアピールすることができます。

さらに、地域の医療機関と連携し、紹介患者を受け入れる体制を整えることも重要です。地方の総合病院では人手が不足しているため、週に1コマ外来を手伝いに行くだけでも感謝され、連携を強めることができます。

私自身の経験ですが、開業当初は患者さんが少なく時間的に余裕があったので、丁寧に診察・検査を行い、患者さんの話をよく聞くようにしました。そのおかげか、「話をよく聞いてくれる先生」という評判が広まり、多くの患者さんに来院していただけるようになりました。

地域の医療機関と連携し、地域住民向けの健康セミナーや講演会を共同開催することも、クリニックの認知度向上や地域貢献に繋がるため、積極的に検討していくべきです。

競合開業医との差別化を図る専門性

多くの場合、開業エリアには既に他のクリニックが存在します。特に、落下傘開業の初期では競合に比して知名度で大きく劣ります。そこで重要になるのが、他のクリニックとの差別化です。

もしあなたが特定の分野に専門医資格を持つ医師であれば、その専門性を活かした診療科目を設定することで、他のクリニックにはない強みを打ち出すことができます。例えば、消化器内科を専門とする医師であれば、内視鏡検査に力を入れたクリニックを開業することで、専門性をアピールできます。

また、小児科であれば、アレルギー疾患に特化した診療を提供することで、他のクリニックとの差別化を図ることができます。 肝臓専門医として開業した私は、地元の情報誌に掲載する広告に「肝臓専門医」と入れることで、差別化を図り、効果を得ました。

地域住民を意識した広告展開

落下傘開業の場合、限られた予算の中で、いかに効率的にクリニックの認知度を高めるかが重要になります。そのためには、地域住民へのリーチを最大化できる広告展開が求められます。

例えば、地域住民が購読する可能性の高い地域情報誌やフリーペーパーへの広告掲載は有効な手段です。また、通勤・通学時に多くの人が利用する駅やバス停、車で目にする電柱に看板を設置するのも効果的です。

電柱看板の工夫として、車が速度を落とす交差点付近に設置することが考えられます。看板の角度も重要で、道路に対し平行ではなく垂直になるように設置することで、人目に付きやすくすることができます。

広告に関してはこちらでも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください！

まとめ

この記事では落下傘開業の準備で押さえるべきポイントや、開業後の戦略について解説しました。上記の方法を実践し、新しい地域でも患者を獲得し、落下傘開業を成功させましょう。