クリニックの効果的な集患施策12選｜ポイントや注意点も解説

クリニックの売上を安定化させるためには、集患が欠かせません。その重要性は理解しつつも、「具体的な集患が分からない」「なかなか思うように効果が出ない」などのお悩みを抱えている院長の方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、クリニックの集患の概要や増患との違い、効果的な集患方法などを解説します。記事後半では、クリニックの集患を成功に導くためのポイントや注意点も解説するので、集患にお困りの方はぜひ参考にしてください。

クリニックの集患とは？

クリニックの集患とは、読んで字のごとく「患者を集める」ことです。具体的には、クリニックにかかる患者を集めるためのマーケティング活動全般を指します。

詳しくは後述しますが、集患の施策にはSEOやSNSなどのオンライン施策、チラシやポスティングなどのオフラインの施策があります。それぞれで特徴が異なるので、クリニックの目的やリソース、予算に応じて使い分けるのが重要です。

クリニックの集患への理解を深めるために、集患の重要性と集患との違いを詳しく見ていきましょう。

集患の重要性

クリニックにおける集患は、以下の点で重要です。

• 安定経営の基盤強化
• 専門性向上と症例数の増加
• 地域医療への貢献

十分な患者数を確保することは、クリニックの経営安定化に直結します。安定した収入源を確保できれば、設備の更新や高度な医療機械の導入、優秀な医療スタッフの確保が可能です。これにより、医療サービスの質を向上させ、より多くの患者に貢献できるでしょう。

また、専門性向上と症例数の増加の観点からも、集患は重要です。多くの患者を診察し症例数を増やしていくことで、自身の専門性向上が期待できるだけでなく、実績向上にもつながります。

さらに、集患に力を入れ地域の医療ニーズに応えることで、地域医療への貢献も可能です。

増患との違い

集患と似た言葉に、「増患」があります。増患とは、「患者を増やす」施策です。リピーターを獲得するという文脈が強く、既存の患者との関係を強化し、継続的な来院を促します。

集患が新たな患者を獲得する施策で、増患が既存の患者と長期的な関係を築くための施策とイメージするといいでしょう。

クリニックのオンラインの集患施策

クリニックのオンラインの集患施策は、以下の通りです。

• ホームページの活用
• SEO対策
• MEO対策
• Web広告の出稿
• SNSの活用
• 病院検索サイトへの登録

ホームページの活用

クリニックのホームページは、24時間365日稼働する情報発信拠点として、集患において重要な役割を果たします。クリニックに来院したいものの、「クリニックのホームページがなくて不安」「診療時間や対応している診療科を知りたいが、連絡先が分からない」などの理由により、患者が受診をためらるケースも往々にしてあります。

診療時間やアクセス情報だけでなく、医師やスタッフの紹介、院内の雰囲気を伝える写真、診療内容の詳細な説明などを掲載することで、潜在的な患者に安心感と信頼感を与え、来院を促す効果が期待できるでしょう。

また、SEO対策やリスティング広告などを組み合わせることで、検索エンジンからの流入を増やし、新たな患者層へのアプローチも可能です。

しかし、ホームページの制作や運用にはコストと手間がかかるというデメリットもあります。また、情報が古くなると信頼性を損なう可能性があるため、定期的な更新が必要です。

SEO対策

SEO対策は、検索エンジンで特定のキーワードが検索された際に、クリニックのホームページを上位表示させるための施策です。患者はクリニックを探す際、「〇〇市　内科」「頭痛　〇〇市」などのキーワードで検索します。SEO対策を強化することにより、潜在的な患者がクリニックを見つけやすくなり、Webサイトへの訪問者数が増加し、結果として集患に繋がることが期待できるでしょう。

SEO対策のメリットは、広告費をかけずに長期的な集患効果が見込める点です。上位表示されれば、安定したアクセスを獲得できる可能性があります。

しかし、SEO対策は即効性がない点がデメリットです。効果が出るまでには時間がかかり、継続的な取り組みが必要です。また、検索エンジンのアルゴリズムは常に変化するため、常に最新の情報にアンテナを張り、対策を調整していく必要があります。さらに、専門的な知識が必要な場合もあり、外部の業者に依頼する場合は費用が発生することも考慮しなければなりません。

MEO対策

MEO対策とは、Googleマップなどの地図検索エンジンでクリニックを上位表示させるための施策です。具体的には、Googleビジネスプロフィールの情報を充実させたり、口コミを増やしたり、Webサイトとの連携を強化したりといった方法があります。

MEO対策のメリットは、地域密着型のクリニックにとって特に有効な集患手段である点です。地図検索で上位表示されることで、近隣住民からの認知度が向上し、来院に繋がりやすくなります。また、Google検索結果にも表示されるため、SEO対策との相乗効果も期待できます。

一方で、ネガティブな口コミが多いと、患者がクリニックを検索した際に「口コミが悪いから不安だな」と感じ、来院をためらう可能性があります。しっかりと患者により沿った丁寧な診察を心がけることが、MEO対策につながるでしょう。

Web広告の出稿

Web広告は、検索エンジンやSNS、ポータルサイトなどに表示される広告で、ターゲット層に直接アプローチできるため、クリニック集患において有効な手段です。広告の種類も多岐にわたり、リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告など、クリニックのターゲット層や予算に合わせて選択できます。

Web広告のメリットは、即効性があり、効果測定がしやすい点です。クリック数や表示回数、コンバージョン数などをリアルタイムで確認でき、効果的な広告戦略を立てやすくなります。

しかし、Web広告は継続的な費用が発生する点がデメリットです。広告費が高額になる場合もあり、予算管理が重要となります。また、広告の内容によっては、医療広告ガイドラインに抵触する可能性もあり、ペナルティが科されることもあるので細心の注意を払ってください。

SNSの活用

SNSの活用は、クリニックの情報を幅広い層に発信し、潜在的な患者とのコミュニケーションを促進する効果的な集患施策です。

写真や動画、文章を通じて、クリニックの雰囲気や診療内容、医師の人柄などを伝えることで、親近感や信頼感を構築し、来院を促すことができるでしょう。また、フォロワーからの質問に答えるなど、双方向のコミュニケーションを通じて、より深い関係性を築くことも可能です。

一方で、ホームページ運用やSEO対策と比較して手軽に始められるものの、集患効果が現れ始めるまでにはある程度の時間と労力を要します。自院で運用する場合、コンテンツ制作やDM・コメントへの返信などにより、スタッフの負担が増加する点は念頭に置かなければなりません。

ポータルサイトや病院検索サイトへの登録

ポータルサイトや病院検索サイトへの登録も、集患には欠かせません。

これらのサイトは、診療科目、地域、保険診療の可否など、様々な条件でクリニックを検索できるため、患者が自分に合ったクリニックを見つけやすいというメリットがあります。また、クリニック側も、診療時間やアクセス情報、診療内容などを詳しく掲載することで、クリニックの魅力をアピールできます。

一方で、多くのクリニックと同様に掲載されるため、競合クリニックとの差別化が難しい点がデメリットです。また、サイトによっては掲載費用がかかるケースもあります。

クリニックのオフライン集患施策

クリニックのオフラインの集患施策には、以下が挙げられます。

• 街頭広告
• チラシ
• ポスティング
• 新聞・雑誌への寄稿
• 地域医療機関との連携
• セミナー・講演会の実施

それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

街頭広告

街頭広告は、駅周辺や商業施設など人通りの多い場所に看板やポスターを設置し、視覚的にクリニックの存在をアピールする集患施策です。地域住民への認知度向上に効果的で、特に新規開院時やクリニックの場所を周知したい場合に有効です。また、ターゲット層に合わせたデザインやキャッチコピーで、興味を引くことができます。

しかし、街頭広告は費用対効果が分かりにくい点がデメリットです。広告を見た人が実際に来院したかどうかを把握することは難しく、正確な効果測定が難しいでしょう。

また、設置場所によっては、広告の効果が限定的になることもあります。さらに、看板やポスターの制作費用や設置費用なども考慮しなければなりません。

チラシ

チラシは、クリニックの情報を直接届けられる集患施策です。診療時間やアクセス、診療内容などを分かりやすく記載し、クーポンや特典を付けることで、来院を促す効果が期待できます。新聞折り込みやポスティング、店頭での配布など、様々な配布方法があり、地域密着型のクリニックにとっては、近隣住民へのアプローチとして有効です。

しかし、チラシはそのほとんどが見られることなく捨てられるとされており、集患につなげるためにはかなり多くの部数を印刷しなければなりません。印刷やデザイン制作にコストがかかるので、その費用対効果は十分に検討する必要があります。

また、医療広告ガイドラインに違反しないように注意が必要です。

ポスティング

ポスティングは、チラシを一般家庭の郵便受けに投函する集患施策です。

ポスティングのメリットには、特定エリアに絞って情報を届けられる点が挙げられます。地域密着型のクリニックにとって、近隣住民に情報を届ける効果的な手段となるでしょう。

ポスティングでは主にチラシを投函しますが、その制作費用や投函費用がかかる点に加えて、医療広告ガイドラインに違反しないよう注意する必要があります。

新聞・雑誌への寄稿

新聞・雑誌への寄稿は、専門知識や経験を活かして記事を執筆し、幅広い読者層にクリニックの存在をアピールできる集患施策です。地域の情報誌や健康雑誌などに記事を掲載することで、クリニックの専門性や医師の専門知識を示し、信頼感を高めることができます。また、記事の内容によっては、特定の疾患や症状に悩む読者からの問い合わせや来院に繋がる可能性も考えられるでしょう。

しかし寄稿は、企画・執筆・校正・修正と相当の時間と手間がかかります。また、Web広告などと比較すると、執筆や写真撮影、校正など多くの作業が発生するため、費用が高い傾向にあります。

地域医療機関との連携

地域医療機関との連携は、クリニックの集患を促進する上で重要な戦略です。

患者は必ずしも適切な診療科目を自己判断できるとは限りません。例えば、糖尿病網膜症と診断された患者は、目の治療が済めば治療は完了したと考えるかもしれませんが、医学的には内科的な治療も必要です。近隣の医療機関と連携し、互いに患者を紹介し合う仕組みを構築することで、適切な医療を提供できる体制を整えることができます。

また、医師会への参加も視野に入れることで、健診や予防接種、夜間休日診療などの業務を他院と連携して行いやすくなり、地域医療への貢献度を高めることができます。これは、クリニックの信頼性向上に繋がり、結果として集患にもプラスの影響を与えるでしょう。

このように、自院のみで集患を目指すのではなく、地域医療機関との連携を積極的に活用することで、より広範な患者層にアプローチし、安定的な集患を実現できる可能性が広がります。

ただし医療機関によっては競合関係にある場合もあり、患者紹介や情報共有において複雑な状況が生じる可能性があります。そのため、連携により得られるメリットとリスクを慎重に判断しなければなりません。

セミナー・講演会の実施

セミナー・講演会の実施は、クリニックの専門性を活かし、地域住民との信頼関係を構築する有効な集患施策です。

健康に関するテーマや特定の疾患に関する情報を分かりやすく解説することで、潜在的な患者層へのアプローチが可能となります。参加者からの質問に答えるなど双方向のコミュニケーションを通じて、より深い関係性を築くこともできるでしょう。

ただし、セミナー・講演会の実施には、会場の手配や準備、広報活動など、手間と費用がかかります。また、当たり障りのない内容だとターゲット層に刺さらず、効果的にアピールできないので、開催する目的と目標を明確に設定しましょう。

クリニックの集患を成功させるためのポイント

クリニックの集患を成功させるためのポイントは、以下の通りです。

• ターゲット層を明確にする
• 自院の強みを明確にする
• オフラインとオンラインの施策を組み合わせる
• 質の高い医療を提供し、患者満足度を高める
• 効果測定と改善を繰り返す

ターゲット層を明確にする

クリニックの集患では、誰にサービスを提供したいのか、ターゲット層を明確にすることが重要です。ターゲット層を絞り込むことで、その層に響く効果的なメッセージや情報発信が可能になります。

例えば、小児科であれば、子育て中の親をターゲットにするのか、アレルギーを持つ子どもを持つ親をターゲットにするのかによって、発信する情報や広告の内容が変わってきます。ターゲット層の年齢、性別、ライフスタイル、抱えている悩みなどを具体的にイメージすることで、より効果的な集患戦略を立てられるでしょう。

自院の強みを明確にする

クリニックの集患において、自院の強みを明確にすることは、患者に選ばれるための重要な要素です。これは、他のクリニックと比較して優れている点を挙げるだけでなく、患者にとってどのような価値を提供できるのかを具体的に示すことを意味します。

例えば、最新の医療機器を導入している場合は、より正確な診断と迅速な治療が可能であることをアピールできます。また、経験豊富な医師が在籍している場合は、専門性の高さを強調することで、患者からの信頼を得ることができるでしょう。さらに、待ち時間が短い、院内が清潔である、スタッフの対応が良いといった点も、患者にとっての価値として捉えられます。

これらの強みを明確に打ち出すことで、患者に選ばれるクリニックとしてのブランドイメージを確立し、集患に繋げることが可能です。

オフラインとオンラインの施策を組み合わせる

オフラインとオンラインの施策を組み合わせることは、多角的なアプローチで集患効果をより高めるための有効な戦略です。それぞれの施策の特性を理解し、相乗効果を狙うことで、より広範な層にアプローチし、潜在的な患者との接点を増やすことができます。

例えば、新聞に専門医によるコラムを連載し、読者をクリニックのウェブサイトに誘導することで、新たな患者層の獲得につながります。

このように、オフラインとオンラインの施策を連携させると、相乗効果が生まれるため、より効果的な集患を実現可能です。

質の高い医療を提供し、患者満足度を高める

質の高い医療を提供し、患者満足度を高めることは、クリニックの長期的な安定と成長に不可欠です。患者が安心して治療を受け、満足してクリニックを後にできるよう、様々な取り組みが求められます。

具体的には、医師やスタッフの専門知識や技術の向上、最新医療機器の導入、丁寧な説明とコミュニケーション、清潔で快適な院内環境の整備、待ち時間の短縮、アフターケアの充実などです。

これらの取り組みを通じて、患者に「このクリニックを選んで良かった」と感じてもらうことで、口コミや紹介によって新たな患者を獲得できる可能性が高まります。

効果測定と改善を繰り返す

効果測定と改善を繰り返すことは、クリニックの集患戦略において非常に重要です。それぞれの施策がどれほどの成果を上げているのか、費用対効果は適切なのか、などを客観的に把握することで、改善点を見つけ出し、より効果的な戦略を練ることができます。

例えば、Web広告を出稿している場合、クリック数やコンバージョン率などのデータを分析することで、どの広告が最も効果的なのか、どのキーワードがより多くの患者を集めているのかを把握できます。また、SNSの運用においては、フォロワー数やエンゲージメント率などを追跡し、どのようなコンテンツが反応が良いのか、どの時間帯に投稿するのが効果的なのかを分析することで、より多くの潜在患者に効果的にアプローチできるでしょう。

このように効果測定を定期的に行い、その結果に基づいて施策を改善していくことで、集患効果を最大化し、クリニックの成長に繋げることが可能です。

クリニックの集患の注意点

クリニックの集患施策に力を入れる際は、「医療広告ガイドラインを意識する」「コンテンツ制作に時間を取られすぎないようにする」の2点に注意してください。

医療広告ガイドラインを意識する

集患する際は、医療広告ガイドラインを意識してください。

医療広告ガイドラインとは、医療機関や医療従事者が行う広告に関するルールです。患者が誤解や過度な期待を抱かないよう、正確かつ適切な情報提供を目的としています。具体的な禁止事項は、以下の通りです。

禁止事項	概要
虚偽広告	医学的根拠のない宣伝。「100%必ず治る」など。
誇大広告	嘘でなくても事実を誇張した表現。「たった3ヶ月で治る」など。
比較優良広告	他院と比較する広告。「県内トップレベル」「日本一の腕」など。
体験談広告	患者の治療の体験談。真偽を問わず、患者個人差が大きいため禁止されている。
治療前後の写真のみの掲載	詳細な説明を省いた状態で、治療前後の写真のみを掲載すること。治療内容や費用、リスク、副作用の記載が必要。

医療広告ガイドラインに違反した場合、中止命令もしくは是正命令が下されます。それにも従わない場合、6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処されるので注意しましょう。

医療広告ガイドラインの概要は、厚生労働省のサイトをご確認ください。

コンテンツ制作に時間を取られすぎないようにする

特にオンライン施策に当てはまることですが、コンテンツ制作に時間を取られすぎないように注意しましょう。集患に役立つコンテンツの制作は重要ですが、リソースは限られています。コンテンツ制作に時間をかけすぎるあまり、他の重要な業務がおろそかになってしまっては本末転倒です。

例えば、診療時間の確保や患者対応、スタッフの育成など、クリニック運営には様々な業務があります。これらの業務とのバランスを保ちながら、コンテンツ制作を並行していくことが欠かせません。

自院で実施するのが難しい場合は、SEO対策の専門業者に依頼するのも検討してください。

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クリニックの売上を安定化させるためには、集患施策を実施していくことが不可欠です。オンライン・オフラインによる施策があるので、相乗効果を引き出すためにそれぞれ組み合わせて取り組んでみましょう。

陥りがちなのが、集患を強く意識するがあまり、コンテンツ制作に時間をかけすぎてしまうケースです。この場合、クリニックの通常業務に悪影響を及ぼすことがあるので、リソースの確保が難しい場合は、外部への委託も検討してみましょう。

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