オンライン診療の開業手順|費用・収支モデルと失敗しない集患戦略

オンライン診療の開業手順|費用・収支モデルと失敗しない集患戦略

オンライン診療での開業は、低コストで始められるため、多くの医師にとって魅力的な選択肢です。しかし、「本当に事業として成り立つのか」「集患はどうすればいいのか」といった不安も大きいのではないでしょうか。

この記事では、オンライン診療専門で開業した場合のリアルな収支モデルから、失敗しないための集患戦略、そして具体的な開業手順までを網羅的に解説します。

副業やパラレルキャリアとして、新しい医師の働き方を模索している先生は、ぜひご一読ください。まずは、ご自身の診療圏でWeb集患の可能性があるのか、競合の状況を把握することから始めてみませんか。
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目次

オンライン診療のみの開業は儲かる?月収17.9万円のリアルな収支モデル

オンライン診療は、対面診療に比べて初期費用を大幅に抑えられるのが大きなメリットです。しかし、その収益性については、現実的な数字をもとに冷静に判断する必要があります。

ここでは、具体的な収支モデルを見ながら、オンライン診療のみでの開業が現実的かどうかを検証していきましょう。

結論:単独での生活維持は困難。副業としての開業が現実的な選択肢

結論からお伝えすると、オンライン診療だけで生活を維持するのは、現時点ではかなり難しいでしょう。

仮に、1日8時間・月20日診療すると、月の総診療枠は約320枠です。このうち6割が埋まったと仮定し、初診と再診の患者さんを合わせると、月の売上は約17.9万円という試算になります。

売上試算(月間)

  • 初診20件 × 2,510円 = 50,200円
  • 再診172件 × 750円 = 129,000円
  • 合計: 179,200円

ここからシステムの利用料や事務所の家賃などの固定費(月10〜15万円)を引くと、手元に残る利益はごくわずかです。

この収支モデルからわかるように、まずは副業としてスタートし、常勤先の給与で生活基盤を安定させながら、事業を育てていくのが現実的な選択肢といえます。

【費用比較】対面開業5,000万円に対し、オンラインなら月10万円から

オンライン診療の最大の魅力は、圧倒的なコストの低さです。

一般的なクリニックを開業する場合、土地や建物の取得、医療機器の導入などで5,000万円から8,000万円ほどの初期費用が必要になります。

一方、オンライン診療専門であれば、高額な医療機器は不要です。自宅や賃貸事務所の一室で始められるため、月々の固定費は以下のように抑えられます。

  • オンライン診療システムの利用料:月額1〜5万円
  • 事務所の家賃:月額5〜10万円

このように、月10万円程度のランニングコストから事業を始められる手軽さは、対面開業にはない大きなメリットです。

診療報酬から見る収益構造の鍵は「再診」。初診2,510円・再診750円

オンライン診療の収益を考える上で、診療報酬の理解は欠かせません。2024年度の改定で、初診の点数は対面より低く設定されていますが、再診は同等です。

  • 初診料(情報通信機器を用いた場合): 251点(2,510円)
  • 再診料: 75点(750円)

初診だけでは大きな収益は見込めませんが、再診料は対面診療と変わりません。つまり、いかに継続して受診してくれる患者さんを増やし、再診を積み重ねていくかが収益安定の鍵となります。

定期的なフォローが必要な疾患や、相談しやすい関係性を築くことで、安定した収益基盤をつくることが重要です。

黒字化までの期間は対面と同様の約2年が目安

初期費用を抑えられるオンライン診療ですが、事業が黒字化するまでには、ある程度の時間が必要です。

一般的な内科クリニックの場合、損益分岐点の目安は1日あたり40人の患者数といわれ、黒字化には約2年かかるとされています。

オンライン診療も同様に、安定した患者数を確保し、事業を軌道に乗せるまでには、少なくとも2年程度の期間を見込んでおくとよいでしょう。焦らず、じっくりと患者さんとの信頼関係を築いていく姿勢が大切になります。

オンライン診療開業の成否を分ける「集患」の現実とAI活用戦略

低コストで参入できるオンライン診療ですが、多くのクリニックが「患者さんが集まらない」という壁にぶつかります。ここでは、集患の現実と、その課題を乗り越えるためのWeb戦略について解説します。

なぜ多くのオンライン診療は患者が集まらずに失敗するのか?

オンライン診療の集患が難しい理由は、対面診療とちがって「場所」という強みがないからです。

駅前のクリニックであれば、看板を見て来院する患者さんもいるでしょう。しかし、オンライン上では全国のクリニックが競合となり、自院の存在を患者さんに見つけてもらうこと自体がむずかしくなります。

そのため、明確な集患戦略がないまま開業してしまうと、誰にも知られないまま運営が立ち行かなくなるケースが少なくありません。

患者の情報源は8割がホームページ。看板やチラシの効果は限定的

では、患者さんはどのようにしてクリニックを探しているのでしょうか。

ある調査では、患者さんがクリニックを選ぶ際の情報源として、約8割が「ホームページ(HP)」と回答しています。一方で、看板やチラシを参考にする人は、それぞれ約5%にとどまりました。

このデータは、オンライン診療の集患において、Webサイトがいかに重要であるかを示しています。最近では地方の40〜60代の方も、まずはスマートフォンで情報を探すのが当たり前です。Webサイトを充実させることが、患者さんに選ばれるための第一歩といえるでしょう。

【成功事例】AI記事生成でWebサイトのアクセスを300PVから100万PVに伸ばす方法

Webサイトで集患するためには、患者さんの悩みに寄り添った質の高い情報を発信しつづけることが重要です。

あるクリニックでは、AIを活用して記事を効率的に作成する仕組みを導入しました。その結果、Webサイトの月間アクセス数を300PVから100万PVへと飛躍的に伸ばすことに成功しています。

AIを使えば、医師が自ら記事を書く時間を大幅に削減できます。診療の合間でも、専門的な知見を活かしたコンテンツを量産し、多くの潜在患者にアプローチすることが可能になるのです。

競合クリニックに埋もれないためのWebサイト差別化のポイント

全国のクリニックが競合となる中で、自院のWebサイトを見つけてもらうためには、差別化が不可欠です。以下のポイントを意識して、サイトを構築しましょう。

  • 専門性の明確化: どのような疾患や悩みに強いのかを具体的に示す。
  • ターゲット設定: どのような患者さんに来てほしいのかを明確にする。
  • 分かりやすい情報発信: 専門用語を避け、患者さん目線で解説する。
  • 医師の人柄を伝える: プロフィールやブログで親しみやすさを演出する。

これらの情報を丁寧に発信することで、患者さんは安心して相談できるようになります。

AIを活用した記事制作など、Web集患の具体的な戦略にご興味があれば、お気軽にご相談ください。自院の強みを活かした集患プランをご提案します。

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最短1ヶ月で診療開始。オンライン診療の開業資格と届出の全手順

オンライン診療の開業手続きは、対面診療に比べて非常にシンプルです。必要な要件を満たし、書類を提出すれば、最短1ヶ月ほどで診療をスタートできます。

ここでは、開業に必要な資格から届出までの具体的な手順を解説します。

開業に必要な資格と厚労省指定eラーニング研修の受講方法

オンライン診療を始めるにあたり、特別な資格は必要ありません。医師免許を持っていれば、誰でも開業が可能です。

ただし、保険診療を行うためには、厚生労働省が指定するeラーニング研修を修了する必要があります。この研修は、オンライン診療の適切な実施に関する指針などを学ぶもので、専用のウェブサイト(telemed-training.jp)からいつでも受講できます。

施設基準の届出に必要な書類(別添7様式+様式1)と提出先

eラーニング研修を修了したら、施設基準の届出を行います。必要な書類は以下の2点です。

  • 情報通信機器を用いた診療に係る基準の施設基準に係る届出書添付書類(別添7 様式1)
  • 特掲診療料の施設基準に係る届出書(様式1)

これらの書類を作成し、クリニックの所在地を管轄する地方厚生局へ提出します。手続き自体はそれほど複雑ではありません。

対面診療体制の確保など、届出前にクリアすべき4つの要件

届出を提出する前に、以下の4つの要件を満たしているかを確認しましょう。これらは、安全で質の高いオンライン診療を提供するための基本的なルールです。

  1. 情報通信機器を用いた診療を行うための体制が整備されていること
    • セキュリティが確保された通信環境など
  2. 厚生労働省の『オンライン診療の適切な実施に関する指針』に沿って診療を行う体制があること
    • 指針の内容を遵守した運用ルールの策定
  3. 患者の急変時などに対応できる、対面診療が可能な体制が確保されていること
    • 連携する近隣の医療機関の確保など
  4. オンライン診療担当医師が、厚労省指定の研修を修了していること
    • 前述のeラーニング研修

特に「対面診療体制の確保」は重要です。オンラインだけでは対応できない事態に備え、協力してくれる医療機関をあらかじめ見つけておく必要があります。

運営効率を最大化するオンライン診療システムとDXツールの選び方

オンライン診療を少人数で、あるいは副業として運営していくためには、業務の効率化が不可欠です。ここでは、運営をスムーズにするシステムやツールの選び方について解説します。

月額1万円から。費用対効果で選ぶオンライン診療システムの比較ポイント

オンライン診療システムは、今や多くのベンダーから提供されており、価格や機能もさまざまです。月額1万円程度から利用できるものもあり、固定費を抑えたい開業初期には助かります。

システムを選ぶ際は、以下のポイントを比較検討しましょう。

  • 費用: 初期費用、月額費用、従量課金の有無など
  • 基本機能: ビデオ通話、予約、問診、決済機能がそろっているか
  • 操作性: 医師側・患者側ともに直感的に使えるか
  • サポート体制: トラブル時のサポートは迅速か

最初から高機能なシステムを導入するのではなく、事業の規模に合わせて、必要な機能がそろったコストパフォーマンスの高いシステムを選ぶことが大切です。

集患を自動化するマーケティングツールの導入メリット

日々の診療に追われる中で、集患活動に多くの時間を割くのは難しいものです。そこで役立つのが、集患を自動化・効率化してくれるマーケティングツールです。

例えば、SEO分析ツールを使えば、患者さんがどのようなキーワードで情報を探しているのかを把握し、Webサイトの記事作成に活かせます。

こうしたツールを活用することで、医師は診療という本来の業務に集中しながら、継続的な集患の仕組みを構築することが可能になります。

予約・問診・決済まで。少人数運営を可能にする業務効率化の具体例

オンライン診療システムには、診療以外のさまざまな業務を自動化する機能が搭載されています。

  • Web予約システム: 24時間自動で予約を受け付け、カレンダーに反映。
  • オンライン問診: 診療前に患者さんが症状などを入力。カルテ記入の手間を削減。
  • オンライン決済: 事前に登録したクレジットカードで自動的に会計が完了。

これらの機能を活用すれば、電話対応や受付業務、会計業務のほとんどをシステムに任せられます。事務スタッフを雇わずに、医師一人でも効率的にクリニックを運営することができるでしょう。

自院の状況に合わせてどのようなツールを導入すべきか、また、具体的な集患施策について専門家のアドバイスがほしい場合は、オンラインでの個別相談も承っています。

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オンライン診療開業でよくある失敗パターンと具体的な回避策

手軽に始められるオンライン診療ですが、計画が不十分だと失敗につながることもあります。ここでは、よくある失敗パターンとその回避策を知り、着実な一歩を踏み出すための準備をしましょう。

失敗例1:システム費用で赤字に。固定費を抑えるツールの見極め方

開業当初、多機能で高額なオンライン診療システムを導入してしまい、毎月の固定費が収益を圧迫するケースは少なくありません。

【回避策】
まずは必要最低限の機能を備えた、低コストのシステムから始めましょう。月額固定費が安いプランや、診療件数に応じた従量課金制のシステムを選ぶのも一つの手です。事業が軌道に乗ってから、必要に応じて高機能なプランへ移行することを検討すれば、無駄なコストを抑えられます。

失敗例2:集患計画がなく、患者が全く来ない状況に陥る

「Webサイトさえ作れば、自然と患者さんは来るだろう」という楽観的な見通しは危険です。準備不足のまま開業し、誰にも知られずに数ヶ月が過ぎてしまう失敗例は後を絶ちません。

【回避策】
開業準備と並行して、集患のための計画を具体的に立てましょう。誰に、どのような情報を届けたいのかを明確にし、Webサイトやブログ、SNSなどで継続的に情報発信を行うことが重要です。開業前から見込み患者との接点を作っておくことが、スムーズなスタートにつながります。

失敗例3:対面診療との連携体制が構築できず、対応できる疾患が限られる

オンライン診療では、触診や検査ができません。そのため、症状によっては対面での診察が必要になります。この連携体制が整っていないと、診察を断らざるを得ないケースが増え、患者さんの信頼を失いかねません。

【回避策】
開業前に、緊急時や対面診療が必要になった際に協力してくれる近隣の医療機関を見つけておきましょう。地域の医師会などを通じて、日頃から他のクリニックと関係を築いておくことも有効です。スムーズに患者さんを紹介できる体制を整えることで、安心してオンライン診療を提供できます。

市場データから見るオンライン診療の将来性と今参入すべき理由

最後に、市場のデータを見ながら、オンライン診療の将来性と、今このタイミングで参入する意義について考えてみましょう。

2035年には1,000億円規模へ。拡大する市場とビジネスチャンス

オンライン診療の市場規模は、年々急速に拡大しています。2019年には約200億円だった市場は、2035年には約1,000億円規模にまで成長すると予測されています。

また、オンライン診療の施設基準を届け出ている医療機関数は、2024年10月時点で12,507件と、全体の約16%にとどまっています。これは、市場がまだ成長段階にあり、新規参入のチャンスが十分に残されていることを示しています。

スマートフォン普及率97%が示す、潜在的な患者層の広がり

オンライン診療の普及を後押ししているのが、スマートフォンの存在です。2024年1月時点で、国内のスマートフォン普及率は97%に達しています。

もはや、年齢や地域に関わらず、誰もがオンラインで医療にアクセスできる環境が整っているといえるでしょう。通院が困難な高齢者や、近くに専門医がいない地方在住者など、これまで医療サービスを受けにくかった層にもアプローチできる可能性が広がっています。

医師の新しい働き方としての「副業オンライン診療」の可能性

オンライン診療は、時間や場所に縛られない、柔軟な働き方を可能にします。

  • 常勤先での勤務後や休日など、すきま時間を活用できる
  • 自宅やサテライトオフィスなど、好きな場所で診療できる
  • 育児や介護と両立しやすい

このようなメリットから、オンライン診療は、医師の新しいパラレルキャリアや副業の選択肢として、今後ますます注目されるでしょう。低リスクで始められる今だからこそ、新しい働き方への第一歩を踏み出す絶好の機会といえます。

オンライン診療での開業や集患について、より具体的な計画を立てたい、あるいは専門家の意見を聞きたいとお考えでしたら、ぜひ一度オンライン面談でお話をお聞かせください。

まとめ

オンライン診療での開業は、月10万円程度の低コストから始められる一方、単独での収益化は難しく、成功にはWebサイトを活用した計画的な集患が不可欠です。手続きは最短1ヶ月で可能ですが、システム選定や対面診療との連携体制構築など、失敗を避けるための事前準備が重要となります。

医師の新しい働き方として将来性のある選択肢ですので、具体的な事業計画や集患戦略についてお悩みの場合は、ぜひ一度オンライン面談でご相談ください。

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この記事を書いた人

Dr.ひろひろのアバター Dr.ひろひろ 整形外科医/産業医

整形外科医/産業医

整形外科専門医として急性期病院・クリニックにて保険診療に従事。
現場での診療を通じ、患者・医療者それぞれが抱える課題を認識し、医療とテクノロジーを横断した問題解決に取り組む。
総フォロワー数20万人を超える医師コミュニティ「Elite Doctors」を主宰。
全国、全診療科、あらゆる年代の医師ネットワークと知見を活かした事業共創・医療DX支援・組織開発を行っている。

著書に「クリニック経営者のためのゼロから始めるSEO集患術」等

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