化粧品等の適正広告ガイドラインとは?56の効能効果と表現の判断基準

化粧品等の適正広告ガイドラインとは?56の効能効果と表現の判断基準

化粧品の広告表現を判断するとき、薬機法の条文だけでは答えが出ません。条文は「誇大広告を禁止する」としか書いておらず、どこからが誇大なのかを示していないためです。

その空白を埋めているのが「化粧品等の適正広告ガイドライン」です。業界団体が策定した自主基準ですが、実務ではここが判断の物差しになります。

この記事では、ガイドラインの位置づけ、表示できる効能効果の範囲、判断の考え方を整理します。個別のNG表現とその言い換えはコスメ広告のNG表現とは?にまとめているため、本記事は判断の枠組みに絞ります。

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必要度セルフチェック

クリニック案件や医療記事制作で、監修が必要かの目安を確認できます。

※本チェックは一般的な目安です。適合性や効果を保証するものではありません。

目次

化粧品等の適正広告ガイドラインとは

化粧品や医薬部外品の広告について、表現の可否を具体的に示した業界基準です。日本化粧品工業会(旧・日本化粧品工業連合会)が策定しています。

法的な位置づけ

法律ではなく、業界の自主基準です。違反しても直ちに罰則が科されるわけではありません。ただし実務上の重みは、この位置づけから受ける印象より大きくなります。理由は3つあります。

✓自主基準でも軽視できない理由
  • 行政が広告の適否を判断する際、実質的な参照基準として機能している
  • 広告代理店や媒体の審査部門が、このガイドラインを基準に入稿可否を決めている
  • 業界の合意事項であるため、逸脱すると取引先から説明を求められる

媒体審査で落ちる基準がここにあるという点が、広告担当者にとって最も実務的な意味を持ちます。法的リスク以前に、広告が出せなくなります。

薬機法との関係

薬機法が上位にあり、その解釈を具体化したものがガイドラインという構造です。

定めていること
薬機法虚偽・誇大広告の禁止、未承認品の効能広告の禁止
厚生労働省の基準・通知医薬品等適正広告基準として、判断の原則を示す
化粧品等の適正広告ガイドライン化粧品・医薬部外品に絞り、具体的な表現例で可否を示す

薬機法の全体像は薬機法とは?で解説しています。

化粧品で表示できる効能効果の範囲

化粧品が表示できる効能効果は、56項目に限定されています。この範囲を超える表現は、ガイドライン以前に薬機法違反となります。

表示できる内容の代表例

✓56項目に含まれる表現の例
  • 肌を整える/肌のキメを整える/皮膚をすこやかに保つ
  • 肌荒れを防ぐ/皮膚にうるおいを与える/皮膚の乾燥を防ぐ
  • 皮膚をひきしめる/皮膚を保護する/皮膚の柔軟性を保つ
  • 日やけによるシミ・そばかすを防ぐ
  • 毛髪にはり・こしを与える/フケ・かゆみを防ぐ/毛髪の水分を保つ
  • 爪をすこやかに保つ/口唇の荒れを防ぐ

共通しているのは、「防ぐ」「保つ」「与える」という現状維持の方向である点です。改善・治癒・変化を示す語は含まれていません。

範囲を超える典型例

  • シミが消える(「防ぐ」は可、「消す」は不可)
  • シワを改善する(医薬部外品の承認がある場合を除く)
  • ニキビを治す(疾病の治療にあたる)
  • 細胞を活性化する(身体機能への作用)
  • アトピーに効く(疾病名との組み合わせ)
  • 毛穴が引き締まる(部位を限定した変化)

判断に迷う語の一覧は薬機法のNGワード一覧にまとめています。

部位別に見た表現の境界

56項目は部位ごとに定められています。同じ訴求でも、対象が肌か髪かで書ける内容が変わります。

部位書ける方向超えるとNGになる例
肌全般整える/うるおいを与える/乾燥を防ぐ/保護する再生する、生まれ変わる、細胞に働きかける
シミ・くすみ日やけによるシミ・そばかすを防ぐシミを消す、色素を分解する、白くする
キメ・毛穴肌のキメを整える/皮膚をひきしめる毛穴を消す、毛穴を引き締めて小さくする
ハリ・弾力皮膚の柔軟性を保つシワを改善する、たるみを引き上げる
ニキビ皮膚を清浄にする/肌荒れを防ぐニキビを治す、炎症を抑える
毛髪はり・こしを与える/水分を保つ/フケ・かゆみを防ぐ発毛する、育毛する、抜け毛を止める
頭皮頭皮をすこやかに保つ血行を促進する(医薬部外品の承認がある場合を除く)
爪・口唇すこやかに保つ/荒れを防ぐ爪を強化して割れなくする

境界の考え方は一貫しています。現状を維持・保護する表現は書け、変化させる表現は書けません。

「防ぐ」と「治す」、「保つ」と「改善する」の差が、そのまま可否の差になります。訴求を作るときは、動詞を先に決めると判断が早くなります。

広告表現を判断する3つの考え方

ガイドラインを読むうえで、前提となる考え方があります。

1. 事実であっても書けない場合がある

試験データで裏付けがあっても、56項目を超える効能は表示できません。 「事実だから問題ない」という理解は誤りです。規制されているのは虚偽だけではなく、化粧品というカテゴリに認められていない効能を示すこと自体です。

2. 全体の印象で判断される

個々の語が範囲内でも、広告全体として医薬品的な効果を印象づけていれば問題になります。判断材料は、キャッチコピー、見出し、本文、写真、図表の組み合わせです。

文章でNG表現を避けても、ビフォーアフター写真を併記すれば効果を示したことになります。チェックは文章だけでなく、クリエイティブ全体で行ってください。

3. 打消し表示は免責にならない

「個人の感想です」「効果には個人差があります」という注記を添えても、本文の表現が範囲を超えていれば違反です。注記は責任を回避する手段になりません。

打消し表示が小さく表示されている場合、景品表示法の観点でも問題になります。

よくある違反パターン

実務で繰り返し起きるパターンを整理します。

他社の表現をそのまま真似る

最も多い原因です。真似た相手が医薬部外品だった場合、化粧品では使えない表現をコピーしたことになります。区分を確認せずに参考にしないでください。同じ棚に並ぶ商品でも、書ける範囲は異なります。

成分の効能を書く

「配合成分の説明であれば商品の効能ではない」という理解は通りません。成分の効能を書けば、その成分を含む商品の効能を示したと評価されます。

研究データや論文を根拠に示す

学術的に正確な情報でも、広告で使えば効能効果の標榜になりえます。引用の形式をとっても回避にはなりません。

インフルエンサーの投稿を管理しない

依頼した投稿者が範囲を超えた表現をすれば、広告主の責任として問われます。2023年10月からのステマ規制もあわせて確認が必要です。詳細はステマ規制とは?を参照してください。

化粧品と医薬部外品で異なる点

化粧品医薬部外品(薬用化粧品)
効能効果の根拠56項目の範囲承認を受けた効能効果
「シワを改善」書けない承認範囲であれば書ける場合がある
「美白」「日やけによるシミ・そばかすを防ぐ」の範囲で表現する承認内容による
有効成分の表示「配合成分」として表示「有効成分」として表示できる
承認・届出届出品目ごとの承認が必要

自社商品がどちらの区分かを確認することが、表現を決める出発点です。 同一ブランドでも、商品ごとに区分が異なる場合があります。

社内でのチェック手順

✓公開前に確認する5つの手順
  1. 商品の区分(化粧品/医薬部外品)を確定する
  2. 医薬部外品の場合、承認された効能効果の文言を確認する
  3. コピー・見出し・本文を56項目(または承認範囲)に照らす
  4. 写真・図表・比較画像を含めて全体の印象を確認する
  5. 打消し表示に依存した表現がないか点検する

チェックツールを併用する場合の選び方は薬機法チェックツールおすすめ11選、外部委託の判断は広告審査代行とは?にまとめています。

医師監修で判断の精度を上げる

ガイドラインは表現の可否を示しますが、「書ける範囲でどう伝えるか」までは教えてくれません。医師監修が有効なのは、この部分です。

✓医師監修が機能する3つの場面
  • 表現が範囲内かの判断に加えて、記述が医学的に正確かを確認できる
  • 過剰な自主規制で内容が薄くなる事態を避け、書ける範囲を最大限に使える
  • 監修者を明示することで、E-E-A-Tの観点からも評価される

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よくある質問

ガイドラインに従わないと罰則がありますか

ガイドライン自体に罰則はありません。ただし逸脱した表現の多くは薬機法の誇大広告に該当するため、結果として行政指導や措置命令の対象になりえます。媒体審査で落ちる実務上の影響も生じます。

56項目はどこで確認できますか

化粧品の効能効果の範囲として公的に示されています。最新の内容は厚生労働省および日本化粧品工業会の公表資料で確認してください。

医薬部外品なら自由に書けますか

いいえ。承認を受けた効能効果の範囲に限られます。承認内容を超える表現は化粧品と同様に問題になります。

海外ブランドの翻訳原稿はどう扱えばよいですか

日本の基準で作り直してください。規制は国ごとに異なるため、原文をそのまま訳すと範囲を超えることがあります。

使用感の表現は自由に書けますか

使用感(さっぱりする、なめらかになる等)は、身体への作用ではなく感覚の描写であれば表現できる場合があります。ただし効能効果を暗示する形になっていないか、全体の文脈で確認が必要です。

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まとめ

✓この記事の要点
  • ガイドラインは業界の自主基準だが、行政と媒体審査の実質的な判断基準になっている
  • 化粧品が表示できる効能効果は56項目。「防ぐ」「保つ」は可、「治す」「消す」は不可
  • 事実であっても、範囲を超える効能は書けない
  • 判断は表現単体ではなく、写真・図表を含む全体の印象で行われる
  • 「個人の感想です」等の打消し表示は免責にならない
  • 他社の表現を真似る前に、その商品の区分(化粧品か医薬部外品か)を確認する

まず自社商品の区分を確定し、既存の広告を56項目に照らして点検してください。医薬部外品であれば、承認された効能効果の文言を社内で参照できる形にしておくと、判断のぶれが減ります。

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この記事を書いた人

Dr.ひろひろのアバター Dr.ひろひろ 整形外科医/産業医

整形外科医/産業医

整形外科専門医として急性期病院・クリニックにて保険診療に従事。
現場での診療を通じ、患者・医療者それぞれが抱える課題を認識し、医療とテクノロジーを横断した問題解決に取り組む。
総フォロワー数20万人を超える医師コミュニティ「Elite Doctors」を主宰。
全国、全診療科、あらゆる年代の医師ネットワークと知見を活かした事業共創・医療DX支援・組織開発を行っている。

著書に「クリニック経営者のためのゼロから始めるSEO集患術」等

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