アフィリエイト広告と薬機法|広告主が負う責任と管理体制のつくり方

アフィリエイト広告と薬機法|広告主が負う責任と管理体制のつくり方

アフィリエイト広告で薬機法違反が起きたとき、責任を負うのは広告主です。記事を書いたアフィリエイターではありません。

自社が原稿を確認していなくても、成果報酬を支払って商品を紹介させている以上、その表示は広告主の広告として扱われます。「知らなかった」は通用しません。

この記事では、責任の所在、違反が起きやすい構造、そして広告主が取るべき管理体制を整理します。

医療記事の医師監修
必要度セルフチェック

クリニック案件や医療記事制作で、監修が必要かの目安を確認できます。

※本チェックは一般的な目安です。適合性や効果を保証するものではありません。

目次

アフィリエイト広告で責任を負うのは誰か

アフィリエイト広告には、広告主・ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)・アフィリエイターの3者が関わります。

立場役割責任
広告主商品を提供し、成果報酬を支払う表示の責任を負う
ASP広告主とアフィリエイターを仲介する直接の規制対象ではない
アフィリエイター記事を作成し、商品を紹介する原則として規制対象外

アフィリエイターの表示は、広告主自身の表示として扱われます。この考え方は、景品表示法の運用基準でも明確にされています。薬機法についても、広告主が実質的に表示内容を決定できる立場にある以上、同様に責任が及びます。

「アフィリエイターが勝手に書いた」という説明は、責任の回避になりません。

なぜアフィリエイトで違反が起きやすいのか

構造的な理由が3つあります。

⚠️違反が生まれる構造
  • 成果報酬型のため、アフィリエイター側に表現を強めるインセンティブが働く
  • 広告主が個々の掲載内容を把握していない
  • 記事数が多く、公開後の変更に気づけない

とくに1点目が根本にあります。クリック率と成約率を上げるほど報酬が増える仕組みである以上、表現は過激な方向に傾きやすくなります。

健康食品や化粧品の広告が「怪しい」と受け取られる背景には、この構造があります。

薬機法違反になりやすい表現

アフィリエイト記事で頻出する違反パターンです。

  • 「飲むだけで痩せた」など、体験談で効能効果を示す
  • 「シミが消えた」というビフォーアフター写真を掲載する
  • 「医師も推奨」と、根拠なく専門家の権威を借りる
  • ランキング形式で「1位の商品が最も効果的」と示す
  • 「〇〇に効く成分を配合」と、成分の効能を断定する
  • 「今だけ特別価格」と、実績のない通常価格を併記する

これらは薬機法だけでなく、景品表示法にも同時に触れる場合があります。個別の判断語は薬機法のNGワード一覧にまとめています。

「個人の感想です」は免責にならない

体験談の下に注記を添えても、効能効果を示していれば違反です。打消し表示は責任を回避する手段になりません。

ステマ規制との重なり

2023年10月からのステマ規制も、アフィリエイト広告に適用されます。成果報酬の関係があるにもかかわらず、広告であることを表示していなければ規制の対象です。

つまりアフィリエイト記事では、薬機法とステマ規制の両方を同時に満たす必要があります

確認する点根拠
効能効果の表現が範囲内か薬機法
体験談・ビフォーアフターの扱い薬機法・医療広告ガイドライン
「広告」「PR」表記の有無と視認性景品表示法(ステマ規制)
価格表示・ランキングの根拠景品表示法(有利誤認・優良誤認)

ステマ規制の詳細はステマ規制とは?、違反時の措置はステマ規制の罰則とは?で解説しています。

通報されるとどうなるか

薬機法違反の疑いがある広告は、消費者や競合他社から行政に情報提供されることがあります。各自治体の薬務主管課が窓口です。

通報後の流れ

✓情報提供を受けた後の一般的な流れ
  1. 行政が該当する広告の内容を確認する
  2. 広告主に対して事実関係の確認・照会が行われる
  3. 是正が必要と判断されれば、行政指導が入る
  4. 指導に従わない場合、措置命令等の対象になりうる

多くは行政指導の段階で処理されます。 ただし指摘から修正までの期間、該当する広告は使えなくなります。

アフィリエイト記事は自社で削除できない

これが実務上の難点です。第三者のサイトに掲載された記事は、広告主が直接削除できません。ASPを通じて依頼し、アフィリエイターが対応するまで待つことになります。

対応が遅れれば、その間も違反状態が続きます。事前の管理でしか防げない理由がここにあります。

広告主が取るべき管理体制

✓アフィリエイト施策で固定する5つの手順
  1. 提携時に表現ガイドラインを配布し、同意を得たうえで提携する
  2. 使用可能な表現・禁止表現のリストを具体的に示す(抽象的な注意喚起にしない)
  3. 掲載開始後、定期的に掲載内容を巡回して確認する
  4. 違反を発見したら、ASP経由で修正・削除を依頼し、記録を残す
  5. 繰り返す提携先については、提携解除の基準を設けておく

2番の「具体的に示す」が最も重要です。「薬機法を守ってください」という一文だけでは、実質的な管理をしていないと評価されるおそれがあります。

使ってよい表現とNGな表現を対比で示し、判断できる状態にしてください。素材として使える言い換え例はサプリ広告の薬機法NG表現一覧にまとめています。

巡回の現実的な頻度

すべての掲載を毎日確認するのは現実的ではありません。優先順位をつけてください。

  • 成果が多い提携先から確認する(露出が大きく、影響も大きい)
  • 新規提携から3か月は重点的に見る
  • 商品リニューアル時は全件を確認する

医師監修で提携先に渡す素材を作る

管理体制を機能させるには、アフィリエイターが使える正しい素材を渡すことが有効です。禁止事項だけを伝えても、書ける内容がなければ表現は自己流になります。

✓提携先に渡すと有効な素材
  • 医師監修済みの商品説明文(そのまま転載可とする)
  • 成分の説明で使ってよい表現の一覧
  • 使用してよい画像・図表
  • 参照可能な出典情報

医師監修を通した素材であれば、医学的な正確性と薬機法の両面が確認済みの状態になります。提携先の表現を制限するのではなく、正しい素材で置き換えるほうが実効性があります。

よくある質問

アフィリエイターの記事も広告主の責任になりますか

なります。成果報酬の関係があり、広告主が表示内容を実質的に決定できる立場にある場合、その表示は広告主の広告として扱われます。

ASPに任せていれば問題ありませんか

ASPは仲介者であり、広告主の責任を肩代わりするものではありません。提携条件やガイドラインの整備は広告主の役割です。

提携先の記事を全部チェックするのは不可能です

すべてを毎日確認する必要はありません。成果が大きい提携先、新規提携先、商品リニューアル時を優先して巡回してください。管理の実態があることが重要です。

違反記事を見つけたらどうすればよいですか

ASPを通じて修正または削除を依頼し、依頼した記録を残してください。是正の努力をした事実を説明できる状態にしておくことが必要です。

「PR」表記があれば薬機法は問題ありませんか

別の規制です。PR表記はステマ規制への対応であり、薬機法の効能効果の制限は別途守る必要があります。両方を満たしてください。

まとめ

✓この記事の要点
  • アフィリエイターの表示は、広告主自身の表示として扱われる
  • 成果報酬型は、構造的に表現が過激になりやすい
  • 薬機法とステマ規制の両方を同時に満たす必要がある
  • 第三者サイトの記事は広告主が直接削除できない。事前の管理でしか防げない
  • 「薬機法を守ってください」だけでは不十分。具体的な表現リストを渡す
  • 禁止するより、医師監修済みの正しい素材を渡すほうが実効性が高い

まず提携先に配布している資料を確認してください。禁止事項の列挙だけで、使ってよい表現を示していないなら、そこが最初に手を入れる場所です。

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この記事を書いた人

Dr.ひろひろのアバター Dr.ひろひろ 整形外科医/産業医

整形外科医/産業医

整形外科専門医として急性期病院・クリニックにて保険診療に従事。
現場での診療を通じ、患者・医療者それぞれが抱える課題を認識し、医療とテクノロジーを横断した問題解決に取り組む。
総フォロワー数20万人を超える医師コミュニティ「Elite Doctors」を主宰。
全国、全診療科、あらゆる年代の医師ネットワークと知見を活かした事業共創・医療DX支援・組織開発を行っている。

著書に「クリニック経営者のためのゼロから始めるSEO集患術」等

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