薬機法で使えないNGワードを、カテゴリ別に一覧化しました。化粧品・健康食品の広告で頻出する表現を中心に、OKへの言い換え方向まで対応させています。「この言葉は使えるのか」を都度調べている担当者向けに、手元で引ける形にまとめました。
先に結論を書きます。NGワードを暗記しても、違反は防げません。 同じ語でも、商品の分類や文脈によって可否が変わるためです。一覧は判断の出発点として使い、最終的な可否は広告全体で確認してください。
必要度セルフチェック
クリニック案件や医療記事制作で、監修が必要かの目安を確認できます。
※本チェックは一般的な目安です。適合性や効果を保証するものではありません。
薬機法のNGワードとは
薬機法は、承認を受けていない商品に「医薬品的な効能効果」を示すことを禁じています。NGワードとは、この効能効果を表すと判断されやすい語のことです。
判断の対象になるのは、次の4点です。
- 疾病の治療や予防ができると示していないか
- 身体の構造や機能に影響を与えると示していないか
- 医薬品と誤認させる用法用量を示していないか
- 承認された範囲を超えた効果を示していないか
語そのものが禁止されているわけではありません。 「改善」という語は、化粧品の「肌荒れを防ぐ」文脈では使えず、サービスの説明では問題なく使えます。判断は常に、何について何を示しているかで行われます。
カテゴリ別 薬機法NGワード一覧
広告で頻出する表現を7カテゴリに分けました。右列は言い換えの方向であり、そのまま使えることを保証するものではありません。
1. 疾病の治療・予防を示す語
最も明確な違反です。病名との組み合わせは、ほぼ確実に問題になります。
| NGワード | 使用例 | OKの方向 |
|---|---|---|
| 治る・治療する | 肌荒れが治る | 健やかな肌を保つ |
| 治癒・完治 | アトピーが完治 | (病名に触れない) |
| 予防する | 生活習慣病を予防 | 毎日の健康維持に |
| 改善する | 便秘を改善 | すっきりした毎日に |
| 緩和する | 症状を緩和 | (効能に触れない) |
| 解消する | 肩こりを解消 | 軽やかな毎日をサポート |
| 効く・効果がある | 花粉症に効く | 季節の変わり目に |
| 抑制する | 炎症を抑制 | (効能に触れない) |
| 除去する | 病原菌を除去 | 清潔に保つ |
| 回復する | 疲労が回復 | 元気に過ごしたい方へ |
「〜が気になる方に」という言い方でも、直前に病名を出していれば違反と判断されます。
2. 身体機能の変化を示す語
病名を出さなくても、身体の働きが変わると示せば医薬品的な効能効果にあたります。
| NGワード | 使用例 | OKの方向 |
|---|---|---|
| 増強する | 免疫力を増強 | 健康維持を心がける方へ |
| 高める・アップ | 代謝をアップ | 活動的な毎日に |
| 促進する | 血行を促進 | (化粧品は「血行を促す」が承認範囲の場合あり) |
| 活性化する | 細胞を活性化 | ハリのある印象へ |
| 再生する | 軟骨を再生 | 動きやすさを大切にしたい方へ |
| 分解する | 脂肪を分解 | 体型が気になる方の食習慣に |
| 燃焼する | 脂肪を燃焼 | 運動と合わせたい方へ |
| 吸収を抑える | 糖の吸収を抑える | 食事のバランスを意識する方に |
| 排出する | 老廃物を排出 | すっきりした毎日に |
| 若返る | 肌が若返る | 年齢に応じたケアをしたい方へ |
3. 器官・部位への作用を示す語
特定の臓器や部位を挙げて作用を示す表現は、医薬品の領域です。
| NGワード | 使用例 | OKの方向 |
|---|---|---|
| 肝臓・腎臓・胃腸に効く | 肝機能をサポート | (臓器名に触れない) |
| 血圧を下げる | 血圧が高めの方に | (トクホ・機能性表示食品の届出範囲内なら可) |
| 血糖値を下げる | 血糖値対策に | (同上) |
| 骨密度を上げる | 骨を強くする | カルシウムは骨の形成に必要な栄養素です |
| 毛が生える・発毛 | 髪が生える | (育毛剤は医薬部外品の承認範囲を確認) |
| 視力が回復する | 目が良くなる | 画面を見る時間が長い方に |
| 関節の痛みを取る | 膝の痛みに | 歩くことを楽しみたい方へ |
4. 医薬品的な用法・用量を示す語
飲み方の指示は、医薬品らしさを強める要素として判断されます。
| NGワード | 使用例 | OKの方向 |
|---|---|---|
| 1日3回、食後に服用 | 用法の指定 | 1日2粒を目安にお召し上がりください |
| 服用する | 服用してください | お召し上がりください |
| 処方・調合 | 医師が処方した配合 | 成分を配合しています |
| 症状に応じて増量 | 用量の調整指示 | (記載しない) |
| 継続して飲めば | 3か月続ければ効果が | 毎日の習慣として |
5. 即効性・持続性を示す語
効果の速さや持続を示すと、医薬品的な効能効果の表現になります。
| NGワード | 使用例 | OKの方向 |
|---|---|---|
| 即効性がある | 飲んですぐ効く | (記載しない) |
| すぐに実感 | 3日で実感 | (体感には個人差があります) |
| 一晩で | 一晩で変わる | 毎日のケアを続けたい方へ |
| 永久に・半永久的 | 効果が持続 | (記載しない) |
| 飲むだけで | 飲むだけで痩せる | 食事管理と合わせて |
6. 安全性を断定する語
安全性の保証は、根拠を示せなければ問題になります。副作用がないという断定も同様です。
| NGワード | 使用例 | OKの方向 |
|---|---|---|
| 副作用がない | 副作用は一切なし | (記載しない) |
| 絶対に安全 | 誰でも安心 | (記載しない) |
| 100%天然だから安全 | 天然成分で安心 | 天然由来の成分を使用しています |
| 医師が認めた安全性 | 医師も推奨 | 医師が成分の組み合わせを監修しました |
| 赤ちゃんでも大丈夫 | 全年齢に安全 | (対象年齢を事実として記載) |
7. 最上級・比較優位を示す語(景品表示法)
薬機法ではなく景品表示法の領域ですが、同じ広告でセットで確認が必要です。
| NGワード | 使用例 | OKの方向 |
|---|---|---|
| No.1・第1位 | 売上No.1 | (調査の出典・期間・範囲を明記できる場合のみ) |
| 最高・最強・最上級 | 最高品質 | (客観的根拠が必要) |
| 業界唯一・日本初 | 唯一の製法 | (根拠を示せる場合のみ) |
| 完全・完璧 | 完全無添加 | 〇〇を使用していません |
| 驚異の・奇跡の | 奇跡のクリーム | (記載しない) |
| 100%満足 | 全員が満足 | (調査データがある場合はその範囲で) |
「No.1」表示は、調査方法・対象範囲・期間を示せなければ優良誤認と判断されます。根拠資料を先に用意してから訴求を作るのが実務上の順序です。
化粧品で使える表現の範囲
化粧品では、認められた効能効果の範囲が56項目として定められています。この範囲を超える表現は使えません。代表的な承認範囲は次のとおりです。
- 肌を整える/肌のキメを整える
- 皮膚をすこやかに保つ/肌荒れを防ぐ
- 皮膚にうるおいを与える/皮膚の乾燥を防ぐ
- 皮膚をひきしめる/皮膚を保護する
- 日やけによるシミ・そばかすを防ぐ
- 毛髪にはり・こしを与える/フケ・かゆみを防ぐ
範囲を超える典型例が、次の表現です。
| よくあるNG | 理由 |
|---|---|
| シミが消える | 「防ぐ」は可、「消す」は不可 |
| シワを改善する | 医薬部外品の承認がある場合を除き不可 |
| 毛穴が引き締まる | 「皮膚をひきしめる」は可だが、部位限定の変化は不可 |
| 美白する | 「日やけによるシミ・そばかすを防ぐ」の範囲で表現する |
| アトピーに効く | 疾病名との組み合わせは不可 |
| 細胞を活性化 | 身体機能への作用は不可 |
医薬部外品(薬用化粧品)は、承認を受けた効能効果に限って表示できます。
ガイドラインの構造と部位別の表現の境界は、化粧品等の適正広告ガイドラインとは?で詳しく解説しています。化粧品と医薬部外品では書ける範囲が異なるため、自社商品の区分を確認してから表現を決めてください。
コスメ広告での言い換えの実例は、コスメ広告のNG表現とは?薬機法OKの言い換えと医師監修の活用法で解説しています。
健康食品では分類によって書ける範囲が変わる
健康食品の場合、NGワードの判断より先に商品の分類を確認してください。トクホ・機能性表示食品・栄養機能食品は、許可や届出の範囲内であれば、本記事の一覧でNGとした表現でも使える場合があります。
届出のない一般的な健康食品では、身体への作用を示す表現は使えません。「他社が書いているから大丈夫」という判断は、その他社が届出済みである可能性を見落としています。
分類ごとの表現範囲、サプリメント広告の具体的なNG例と20パターンの言い換え早見表は、サプリ広告の薬機法NG表現一覧で詳しく解説しています。ダイエット訴求についてはダイエット広告のNG表現とは?を参照してください。

NGワードを避けても違反になる3つのケース
一覧の語を消しただけでは、違反を防ぎきれません。実務で見落とされやすい3点を挙げます。
全体の印象で判断される
個々の表現が穏当でも、広告全体として医薬品的な効果を印象づけていれば違反と判断されます。前後の文脈、キャッチコピー、見出しの組み合わせが評価の対象です。
画像や図表との組み合わせ
文章でNGワードを避けても、ビフォーアフター写真や、体の断面図で作用を示すイラストを併記すれば、効能効果を示したことになります。チェックは文章だけでなく、画像・図表・動画を含めて行ってください。
引用・研究データの扱い
成分の研究論文を引用して効果を示す方法も、その成分を含む商品の効能効果を示したと判断される場合があります。学術情報として正確でも、広告での使い方によっては問題になります。
薬機法の考え方と判断基準の全体像は、薬機法広告のOK/NG表現とは?言い換え例と医師監修の活用法で解説しています。
薬機法の表現チェック方法
チェックを担当者の記憶に頼ると、判断がぶれます。手順として仕組み化してください。
手作業のチェックリスト
最低限、次の4点を公開前に確認します。
- 商品の分類(化粧品/医薬部外品/トクホ/機能性表示食品/栄養機能食品/一般食品)を確認したか
- 本カテゴリ一覧の7分類に照らして、該当する語がないか
- 画像・図表・体験談を含めて確認したか
- 広告全体を通しで読み、医薬品的な印象を与えていないか
確認者の名前と日付を残してください。指摘の履歴が蓄積されると、判断基準が組織に定着します。
チェックツールの活用と限界
薬機法チェックツールは、NGワードの検出に有効です。明確な違反語は機械的に拾えます。
一方で、文脈全体の印象、画像との組み合わせ、体験談の構成といった判断は、キーワード照合では扱えません。ツールは一次スクリーニング、最終判断は人という運用が現実的です。
主要なツールの料金と対応範囲は、薬機法チェックツールおすすめ11選|料金・対応範囲で比較で比較しています。
専門家による確認
次のいずれかに当てはまる場合は、社内チェックだけで完結させないことを推奨します。
- 新商品の立ち上げで、訴求の軸を決める段階にある
- 医薬品との境界が曖昧な成分を扱っている
- 医師や研究者の見解を広告に引用する
- 過去に広告審査で差し戻された経験がある
医師監修でNG表現を回避しながら訴求力を保つ
表現を削るだけでは、商品の魅力が伝わらなくなります。医師監修は、この矛盾を解く方法のひとつです。
医師監修が機能する理由は3つあります。
- 表現の妥当性を医学的な観点から確認できる — 法令の条文だけでなく、記述が科学的に正確かを見る
- 監修者を明示することで、情報の裏付けを示せる — 誰が確認したかを開示することは、ステマ規制の観点でも透明性につながる
- 検索エンジンの評価軸に沿う — GoogleはYMYL領域で専門性と信頼性を重視すると公表しています
削る作業ではなく、書ける範囲を正確に見極めて訴求を設計することが、監修の実務的な価値です。
よくある質問
NGワードの一覧を覚えれば違反は防げますか
防げません。同じ語でも、商品の分類と文脈によって可否が変わります。一覧は出発点として使い、広告全体での確認を必ず行ってください。
「〜と言われています」と書けば回避できますか
回避になりません。伝聞の形をとっても、効能効果を示したと判断されます。「個人の感想です」という注記も同様に免責になりません。
社内に薬機法の知見がない場合、どこから始めればよいですか
まず自社商品の区分(化粧品/医薬部外品/トクホ/機能性表示食品/一般食品)を確定してください。区分が決まれば、書ける範囲が絞り込めます。その上で既存の広告原稿を本記事の7カテゴリで点検すると、優先して直すべき箇所が見えます。
化粧品と医薬部外品で、書ける範囲はどう違いますか
化粧品は56項目の効能効果の範囲内で表現します。医薬部外品(薬用化粧品)は、承認を受けた効能効果を表示できるため、化粧品では書けない「シワを改善する」などが使える場合があります。自社商品がどちらの区分かを確認してから、表現を決めてください。
チェックツールだけで公開して問題ありませんか
推奨しません。ツールは明確なNG語の検出に有効ですが、文脈や画像との組み合わせは判断できません。人による最終確認を組み合わせてください。
まとめ
薬機法のNGワード対応で押さえる点を整理します。
- NGワードは7カテゴリ(疾病・身体機能・器官・用法用量・即効性・安全性・最上級)に整理できる
- 語を覚えるだけでは不十分。商品の分類と広告全体の文脈で判断される
- 化粧品は56項目の効能効果、健康食品は制度上の分類が表現の範囲を決める
- 文章だけでなく、画像・図表・体験談を含めてチェックする
- ツールは一次スクリーニング。最終判断は人が行う
まず自社商品の分類を確認し、既存の広告原稿を本記事の7カテゴリに照らして点検してください。判断に迷う表現が出た段階で相談できる体制を用意しておくと、広告の差し戻しや出稿停止のリスクを減らせます。


